日本看護科学会誌
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ISSN-L : 0287-5330
原著
外来看護の可視化と質評価に資するデータベースの構築に向けた指標の検討
久貝 波留菜秋山 智弥林田 賢史磯部 環高橋 好江井上 真帆キタ 幸子矢坂 泰介池田 真理森田 光治良春名 めぐみ仲上 豪二朗
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電子付録

2026 年 46 巻 p. 561-572

詳細
Abstract

目的:外来看護の質評価・改善のためのデータベース構築に向けて,患者の多様なニーズに対応する外来看護の質評価指標を検討することを目的とした.

方法:2024年11~12月に国内の医療機関4施設の看護管理者と外来看護師を対象にグループインタビューを行い,外来患者の多様なニーズに対して看護師が組織的に行っている取り組みを尋ねた.逐語録を作成し,帰納的に分析した後,ストラクチャー,プロセス,アウトカムの観点で質評価指標を演繹的に整理した.

結果:看護師22名から14の取り組みが聴取され,5つの外来看護の機能に分類された.外来看護関連指標として,ストラクチャーには看護師配置,個室,継続看護委員会の設置等,プロセスには療養指導や継続看護依頼件数等,アウトカムには治療継続率や在院日数,患者の安心感等が含まれた.

結論:外来看護の内容と関連指標が整理された.今後,外来看護の質評価・改善に活用できる可能性がある.

Translated Abstract

Aims: This study aimed to identify quality indicators related to outpatient nursing responsive to diverse patient needs. These indicators are essential for developing an efficient database for quality evaluation and improvement of outpatient nursing.

Methods: We conducted group interviews with nurses in the outpatient departments of four Japanese hospitals and asked them about organizational nursing initiatives implemented to address complex and diverse outpatient needs. Inductive analyses were conducted using interview data transcripts to identify outpatient nursing quality indicators, which were then deductively sorted into “structural,” “process,” and “outcome” categories.

Results: Interview data from 22 nurses revealed 14 organizational initiatives in outpatient nursing that were categorized into five outpatient nursing functions. The structural indicators included nurse staffing, private room environment, and the establishment of a continuity of care committee. The process indicators included the amount of medical guidance provided and the number of continuities of care requested by the ward, and the outcome indicators included treatment continuation rate, average length of hospital stay, and patients’ sense of security.

Conclusion: We identified organizational initiatives and indicators relevant to outpatient nursing, where nurses communicate with patients with complex and diverse needs. Our results can be used to evaluate and improve outpatient nursing care.

Ⅰ. 緒言

日本の少子高齢化,疾病構造の変化,平均在院日数の短縮,医療技術の高度化に伴い,医療や介護に関する多様かつ複合的なニーズを有する外来患者が増加している(厚生労働省,2023).さらに,要介護高齢者の増加による介護関連業務の増大や(佐藤ら,2019),これまで入院中に提供されてきた医療やケアが外来や在宅へ移行することで,入院医療と在宅医療の間に位置する外来医療の役割や機能が多様化,高度化し(吉川,2023),多様なニーズに対応する外来看護の提供が求められている.

新たな地域医療構想では全ての地域や世代の患者が適切な医療を受けられる体制を構築できるよう,入院医療だけでなく,外来,在宅医療,介護が連携した,医療提供体制全体の構想が検討されている(厚生労働省,2024a).具体的には,2023年から医療資源の効率的な活用と質の高い医療の持続的な提供を目指し,「紹介受診重点医療機関」制度が開始された.紹介受診重点医療機関は,かかりつけ医からの紹介を基本として,手術入院前後の外来,外来化学療法や放射線治療などの高額の医療機器や設備を必要とする外来,特定の領域に特化した機能を有する外来など,機能分化・強化した外来機能を担う医療機関であり,2025年4月時点で全国に1,069施設ある(厚生労働省,2025).複雑化した外来医療の提供体制の中,医療機関からは従来の病棟看護業務の一部を外来へ移行する試みや継続看護,地域連携の強化など,社会的な変化によって多様化した患者のニーズと医療提供体制の実情に対応した外来看護の取り組みが報告されている(平岡ら,2023田中ら,2023西澤,2019).しかし,このような外来看護の実践を調査した研究はみられず,外来看護の取り組みの実態は十分に明らかになっていない.さらに,外来看護の実践を可視化し,質の評価・改善に繋げる仕組みは整備されていない.

医療の質について,Avedis Donabedianは「すべての医療の過程の部分から期待される損失と利益の予測を考慮した上で,患者の全体的な福利を最大化するようなもの」としており(Donabedian, 1980/2007),1960年代から〈構造(ストラクチャー)〉,〈過程(プロセス)〉,〈結果(アウトカム)〉の3つの要素に着目した質評価の概念枠組みが提唱されている(Donabedian, 1966).このストラクチャー,プロセス,アウトカムの要素は密接に関連し,サービスのインプットからアウトプットまで包括的に捉えられることから,看護サービスの質評価に広く活用されている(井部・秋山,2023).米国では看護の可視化及び質評価を目的として,米国看護師協会によって質指標データベース(The National Database of Nursing Quality Indicators; NDNQI®)が開発され,収集した看護ケアの構造,ケアのプロセス,患者アウトカムに関するデータが看護や医療の質評価・改善に活用されている(Melnyk et al., 2023Montalvo, 2007Waters et al., 2015).国内でも,日本看護協会のDatabase for improvement of Nursing Quality and Labor(DiNQL®)事業や一部の医療機関において,看護に関する指標を収集し,質の評価・改善に活用する取り組みが報告されている(日本看護協会,2025日本看護質評価改善機構,2022).しかし,これらの取り組みは病棟看護に着目した報告が多く,外来看護の質指標の検討や継続的な質の評価・改善の仕組みづくりに関する研究報告はみられない.したがって,外来看護でも質を評価できる仕組みが必要である.

今後,外来看護の可視化及び質の評価・改善を継続的に行う仕組みづくりに向けて,外来看護実践に関する情報を収集,蓄積するデータベースの構築とその活用が求められる.そのために,外来看護の実践に基づいて,収集すべきデータや評価すべき患者及び病院への効果について検討し,外来看護の実態に即した指標を整理することが必要である.

Ⅱ. 目的

本研究は,社会的な変化によって生じた患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組みをもとに,外来看護に関して収集すべき質評価指標をストラクチャー,プロセス,アウトカムの観点から検討することを目的とした.

Ⅲ. 方法

1. 研究デザイン

外来看護に携わる看護師を対象としたインタビューによる質的研究である.

2. 対象と調査方法

対象施設は,患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組みを実践している医療機関とした.近年,少子高齢化や疾病構造の変化,在院期間の短縮,医療技術の進歩などの社会的な変化によって患者のニーズが多様化し,外来看護の機能や役割が変化している.このような社会の変化を背景に,本研究では,「患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組み」を「診療報酬算定の有無に関わらず,社会的な変化によって多様化,高度化,複雑化した外来患者のニーズに対応して医療機関が実施する外来看護の組織的な取り組みであり,今後全国的な普及が望まれる看護実践」と定義した.対象施設は,様々な外来看護の取り組みが含まれるように,機縁法及び実践報告などの文献から情報収集し,選定した.

対象者は,外来患者の看護に携わる看護師及び看護管理者のうち,1)臨床経験が3年以上の外来看護師あるいは看護管理者,2)日本語で会話,読み書きが可能な者,3)20歳以上かつ75歳未満の者とした.対象施設の看護部長もしくは連絡担当者に研究目的・対象者の包含基準を説明した上で,外来看護の取り組みを把握し,かつ,インタビューで詳細を話せる看護師の選定を依頼した.なお,人数や所属部署は制限を設けなかった.

各施設の看護部長に調査協力を依頼し,応諾施設の連絡担当者と日程調整の上,オンラインもしくは対面にて約60分のグループインタビューを実施した.インタビューは,外来看護や質評価に精通した研究者,看護管理学を専門とする研究者が複数名で実施し,インタビュー内容はレコーディングし,逐語録を作成した.

3. 質問内容

1) 対象者・病院属性

対象者属性は,フェイスシートを用いて所属部署,職位,看護師経験年数,所属部署経験年数を収集した.病院属性は,あらかじめ看護部長もしくは連絡担当者に依頼し,病床数,職員数(内,看護師人数),外来看護師人数,年間外来患者数などを尋ねた.さらに,令和5年度病床機能報告データから医療機関の設置主体,基本診療料に関する施設基準,病床機能に関する情報を収集した.

2) 患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組み

まず,患者の多様なニーズに対応して実践されている,外来看護の組織的な取り組みを尋ねた.研究者が事前に情報収集した取り組み及びこれ以外に実践されている外来看護の取り組みの両方を調査対象とした.

さらに,医療や看護の質評価に広く活用されているDonabedianの概念枠組み(Donabedian, 1980/2007Yang et al., 2025)に基づき,研究者らが作成したインタビューシートに沿って,病院で実施している外来看護の取り組みの詳細を尋ねた.具体的には,病院や部署の〈ストラクチャー〉,取り組みの内容や看護行為などの〈プロセス〉,取り組みによって変化しうる病院や患者の〈アウトカム〉の3つの観点で,外来看護関連指標の元となる情報を尋ねた.

4. 分析方法

インタビューデータは外来看護や質評価,看護管理学を専門とする研究者がMayring(2022)の質的内容分析の手法を参考に分析した.質的内容分析は,テキストデータを体系的かつ段階的に分析する手法である.意味内容を要約,抽象化することで帰納的に整理するアプローチと,既存の理論枠組みに基づいて内容を構造化する演繹的アプローチが含まれ,これらを組み合わせた分析が可能である.本研究では以下の手順で実施した.

1) 患者の多様なニーズに対応する外来看護の機能の分類

患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組みを外来看護の機能の側面から分類した.まず,逐語録から病院ごとに外来看護の取り組みの内容を抜き出し,短いパラグラフに要約した.次に,各パラグラフに取り組みの内容を表す見出しをつけ,取り組みIDを付与した.そして,取り組みの目的や内容の類似性をもとに『外来看護の機能』を帰納的に分類した.

2) 指標の検討

次に,外来看護の質指標を整理した.逐語録から,取り組みを実践するための病院・部署の体制や環境,取り組みの中で看護師が実践している支援や行為,取り組みによって期待される患者や病院への効果に関する情報を抜き出し,外来看護の取り組みごとに指標の元となるコードを作成した.さらに,重複・類似するコードを統合し,指標を生成した.生成された指標は,Donabedianの医療の質評価の概念枠組みに基づいて外来看護の機能ごとに〈ストラクチャー〉,〈プロセス〉,〈アウトカム〉の3つの観点から構造化し,演繹的に整理した.指標を抽出,整理する際は研究者間で討議し,全ての研究者の合意に達するまで修正を繰り返した.なお,実際には収集,評価されていない項目であっても,インタビューや研究者間のディスカッションの中で外来看護の指標となる可能性が提示された場合には,今後のデータ取得可能性を考慮して指標に含めた.

5. 倫理的配慮

本研究は,東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の承認を受けて実施した(2024227NI-(2)).対象者に説明文書を用いて研究概要,自由意思にもとづく参加,研究に協力しない場合も不利益を被らないことを説明し,書面にて同意を得た.インタビューは,医療機関が提供する個室で行い,同意を得てレコーディングした.個人情報を削除した逐語録を作成し,分析に使用した.

Ⅳ. 結果

1. 対象施設及び対象者の属性

対象の4施設は全て診断群分類別包括評価制度(DPC/PDPS)対象の急性期病院かつ紹介受診重点医療機関であり,病床数は200床から600床であった.全施設で入院基本料の入退院支援加算1が算定され,3施設は地域医療支援病院に認定されていた(表1).

表1 対象施設の概要

ID インタビュー方法 設置主体 病床数 病床機能 対象者
A病院 オンライン
インタビュー
地方独立行政法人 約220床 急性期 外来看護師長,患者支援センター看護師長,看護部長の計3名
B病院 対面インタビュー+外来見学 市町村 約630床 高度急性期,急性期 患者支援センター主任看護師,外来看護師(2名),外来副主任看護師,在宅医療室主任看護師,入退院支援室看護師長の計6名
C病院 対面インタビュー+外来見学 医療法人 約670床 高度急性期,急性期 外来看護師長(2名),副看護部長の計3名
D病院 対面インタビュー+外来見学 市町村 約340床 高度急性期,急性期 看護部管理室高度臨床看護部門看護師長,外来看護師長,外来副看護師長,地域医療支援室看護師長,手術室看護師,地域医療支援室・入院支援センター看護師,看護副部長(3名),看護部長の計10名

対象看護師22名の看護師経験年数の平均値は28.1年,所属部署経験年数の平均値は14.2年であった.重複該当を含め,対象者8名が外来に所属し,6名が看護部/看護部管理室,そのほか患者支援センター(2名),入退院支援室/センター(2名),地域医療支援室(3名),在宅医療室(1名),手術部(1名)に所属していた(表2).

表2 対象者属性

n = 22)

人数(%)/
平均値[範囲]
所属部署* 外来 8(36.4)
患者支援センター 2(9.1)
入退院支援室/センター 2(9.1)
地域医療支援室 3(13.6)
在宅医療室 1(4.5)
手術部 1(4.5)
看護部/看護管理室 6(27.3)
職位 スタッフ 3(13.6)
副主任相当 1(4.5)
主任相当 3(13.6)
副看護師長相当 1(4.5)
看護師長相当 9(40.9)
副看護部長相当 4(18.2)
看護部長相当 1(4.5)
看護師経験年数 28.1[21–38]
所属部署経験年数 14.2[0.6–37]

* 複数回答

2. 外来看護の取り組みと機能

「患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組み」として,14の取り組みが抽出された(付録1).これらの内容は,5つの外来看護の機能に分類され,a.入院前から退院後までの一元的な継続看護と療養支援の提供(『一元的な継続看護と療養支援』)(A病院-1,B病院-1,C病院-4,D病院-1),b.療養指導や周術期看護を担う専門的な外来看護の提供(『専門的な外来看護』)(B病院-2,B病院-3,D病院-2,D病院-3,D病院-4),c.通信機器を用いた遠隔での相対応と支援の提供(『通信機器を用いた相談対応と支援』)(C病院-1,C病院-2),d.支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援の提供(『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』)(A病院-2,C病院-3),e.在宅医療部門による訪問看護の提供(『在宅医療部門による訪問看護』)(B病院-4)であった(表3).

表3 患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組み

外来看護の機能 患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組み 取り組みID
a.入院前から退院後までの一元的な継続看護と療養支援の提供 ・病棟から外来への切れ目のない継続的な看護の提供 A病院-1
・患者支援センターによる入院から退院後までの切れ目なく一元化された看護の提供 B病院-1
・患者の入院から退院後までを支える外来病棟連携 C病院-4
・地域医療支援室による切れ目のない在宅療養システム D病院-1
b.療養指導や周術期看護を担う専門的な外来看護の提供 ・骨折リスクに対する包括的な療養指導を提供する骨粗鬆症看護外来 B病院-2
・在宅酸素療法を受ける患者を支える呼吸器看護外来(HOT外来) B病院-3
・重症化・合併症予防のための外来糖尿病療養指導 D病院-2
・皮膚・排泄ケア認定看護師によるストーマ外来 D病院-3
・術前の支援により術後回復と早期退院を促す周術期外来 D病院-4
c.通信機器を用いた遠隔での相談対応と支援の提供 ・症状や受診などに関する様々な電話相談に対する判断と対応 C病院-1
・電話訪問による状態の聞き取りと患者指導 C病院-2
d.支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援の提供 ・気になる外来患者に対する支援体制づくり A病院-2
・ナビシートを活用した支援対象者のスクリーニングと地域連携 C病院-3
e.在宅医療部門による訪問看護の提供 ・在宅医療室の看護師による退院患者への訪問看護の提供 B病院-4

3. 外来看護に関わる指標

外来看護の機能ごとに〈ストラクチャー〉〈プロセス〉〈アウトカム〉指標が整理された(表4).なお,具体例を含む詳細版は付録2に示した.

表4 外来看護の機能ごとに統合された指標

外来看護の機能 ストラクチャー(Structure) プロセス(Process) アウトカム(Outcome)
a.入院前から退院後までの一元的な継続看護と療養支援の提供
〈取り組みID〉
・A病院-1
・B病院-1
・C病院-4
・D病院-1
人員 ・部署別看護師配置人数
・専門看護師・認定看護師などの配置割合
・他職種の職種別配置人数
・病棟から外来への継続看護依頼件数
・外来看護師による退院前ベッドサイド訪問件数
・入院支援時の各種アセスメントの実施
・フレイル予防指導件数
・患者目標の設定件数
・患者・家族等への連絡件数
・外来担当看護師による退院後初回外来受診時の介入件数
・外来看護師による入院患者への介入件数
・退院後初回外来受診前の継続看護カンファレンス実施件数
・病棟看護師が外来業務を行うためのオリエンテーションの実施
・緊急対応実施件数
・入院患者に対する患者支援センター利用割合
・クリニカルパスの活用
・入院支援時の面談実施件数
・入院支援時の入院案内説明件数
・手術前のオリエンテーションの実施
・入院前からの栄養指導件数
・入院前日や休薬前日の電話連絡によるリマインド実施件数
・患者目標についての情報共有
・退院後48時間以内の電話訪問(フォローアップ)実施件数
・外来看護師による意思決定支援への関与件数
・入院時情報用紙作成件数
・療養支援計画書立案件数
・外来がん患者支援カンファレンス開催件数
・入退院支援シート作成件数
・検査部門看護師によるベッドサイド訪問件数
・地域連携の実施件数
・治療継続率/受診中断率
・受診中断患者への対応件数
・平均在院日数
・再入院率
・服薬アドヒアランス
・患者満足度
・安心感・フレイル予防
・患者の目標達成
・入院延期の減少
・手術延期の減少
・紹介受診重点医療機関としての逆紹介件数
・病床管理の効率化
・入院支援に要する時間の短縮
・入院準備の不備の減少
・継続支援の理由となった課題の解決
・本人や家族の困りごとの解決
・地域連携実施件数
・支援が必要な患者への訪問看護導入件数
・情報共有による院内のチーム間のスムーズな連携
・情報共有による意思決定支援の一貫性の向上
・病棟業務の効率化・医療材料の不良在庫の減少
環境・
物的資源
・プライバシーを確保できる個室の有無
・物理的なアクセスの良さ
・面談用の機材の有無
・電子カルテシステムの有無
・地域連携パスの有無
・病棟看護師と患者支援センターの情報共有ツールの有無
・休薬確認の電話連絡が必要な患者リスト及び電話マニュアルの有無
・動画やパンフレットなどの患者への情報提供資料の有無
・看護専門外来の設置
・機能分化した部門の設置
(例:入院支援部門,退院支援・調整部門,地域連携部門,外国人医療サポート部門など)
・当該部署・部門が有する機能
(例:入院前薬剤指導・持参薬管理,病床管理,退院支援,在宅医療,介護申請相談,臨床心理支援など)
・患者支援センターの設置
・地域医療支援室の設置
組織 ・Patient Flow Management(PFM)システムの有無
・入退院支援加算の算定状況
・継続看護委員会設置の有無
・継続支援に関わる研修会開催の有無
・専門性の高い看護師が組織横断的に活動する体制の有無
・外来リーダーや継続看護委員への相談可能な体制の有無
・継続支援対象者の選定基準の設定
b.療養指導や周術期看護を担う専門的な外来看護の提供
〈取り組みID〉
・B病院-2
・B病院-3
・D病院-2
・D病院-3
・D病院-4
人員 ・部署別看護師配置人数
・専門看護師・認定看護師などの配置割合
・他職種の職種別配置人数
・当該看護専門外来担当看護師の所属及び当番制度
・多職種連携体制の連携職種
【骨粗鬆症看護外来】
・療養指導件数
・看護専門外来の標準化された患者支援フローの有無
・多職種カンファレンスの開催件数
【呼吸器看護外来(HOT外来)】
・HOT導入後の初回自宅訪問の実施件数
・HOTの管理や症状悪化時の対応についての説明件数
・機器トラブルへの対応
・医師と対応を協議し患者にフィードバックした件数
・HOTの指示変更・機器変更時の調整件数
外来糖尿病療養指導】
・地元企業からの患者紹介モデルの構築
・地元企業からの患者紹介件数と検査データ
・合併症評価件数
・糖尿病療養指導件数
・フットケア外来実施件数
・地域からの紹介により教育入院に至った件数
・地域の開業医への働きかけによる患者紹介件数
・術前にインスリン調整や内服調整を行った件数
【ストーマ外来】
・緊急手術におけるストーママーキング実施件数
・病棟から看護専門外来への相談件数
・看護専門外来による退院直後のフォローアップ件数
・外部機関からの相談件数
・外部機関・他施設からの緊急相談件数
・ベッドサイド訪問による退院前指導件数
・患者・家族への個別対応件数
【周術期外来(術前外来)】
・術前のインスリン療法や吸入療法の開始件数
・術前説明・心理的支援実施件数
・入院前栄養スクリーニングの実施
・院内の担当部門への紹介
・多職種連携の実施
・医師や麻酔科医の診察後の看護師による補足説明
【共通】
・再入院率
・在院日数
・症状悪化の早期発見
・生活の質(QOL)
・栄養状態の改善
・多職種連携
・地域連携・安心感
・心理的不安
・患者満足度
・スタッフのスキルアップ
【骨粗鬆症看護外来】
・骨折リスクの軽減
・骨粗鬆外来利用件数の増加
【外来糖尿病療養指導】
・合併症・重症化予防
・疾患のコントロール
・未受診の糖尿病患者への介入開始件数
・特定行為研修修了者によるインスリン調整件数
・緊急受診や重症化件数
・地域医療機関との連携強化
【ストーマ外来】
・ストーマ外来受診患者数
・退院前の病棟訪問による指導件数
・患者のストーマ外来通院回数
・皮膚トラブルの対応件数
・患者・家族の手技
【周術期外来(術前外来)】
・手術延期件数・早期離床
・術後合併症の発生件数
・退院後の介護福祉リソースの利用
環境・
物的資源
【共通】
・専用個室の確保
・電子カルテによる情報共有体制
・退院療養計画書の作成・活用状況
・在宅療養支援計画書の作成・活用状況
・外来継続看護スクリーニングシートの作成・活用状況
【専門領域ごとに設定】
・看護専門外来の設置及びその専門領域
・多職種連携体制の連携職種
・専門外来対象患者の選定基準
・当該専門外来の実施日
【ストーマ外来】
・タブレット端末を活用した訪問看護師との連携体制
【外来糖尿病療養指導】
・糖尿病患者の入院時に専従看護師に情報が集約されるシステム
組織 ・訪問看護との連携体制の有無
・プラチナナース(定年退職前後の看護職員)による福祉相談
・外来患者の受け持ち看護師体制の有無
・外部機関(高齢者施設,訪問看護事業所など)からの相談対応体制
・当該専門外来と地域医療支援室との連携体制の有無
c.通信機器を用いた遠隔での相談対応と支援の提供
〈取り組みID〉
・C病院-1
・C病院-2
人員 ・部署別看護師配置人数
・専門看護師・認定看護師などの配置割合
・他職種の職種別配置人数
・電話対応業務を担う外来看護師の配置
・業務量に応じた配置調整
・電話相談件数
・電話訪問件数
・電話訪問実施患者の電話相談件数
・電話訪問計画立案件数
・電話訪問実施記録件数
・患者への電話訪問オリエンテーション実施件数
・電話業務についての看護師の教育機会有無
・疾患の重症化予防件数
・時間外受診件数
・意思決定支援件数
・臨時受診件数
環境・
物的資源
・病院代表に繋がる電話の設置
・代表から各診療科の外来看護師に電話を繋ぐフロー
・患者用の電話連絡説明資料の有無
・看護師用の電話相談マニュアルの有無
・遠隔支援のための通信機器の有無
d.支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援の提供
〈取り組みID〉
・A病院-2
・C病院-3
人員 ・部署別看護師配置人数
・専門看護師・認定看護師などの配置割合
・他職種の職種別配置人数
・支援の必要性についてのスクリーニング実施件数
・外来で開始した継続支援件数
・緊急対応実施件数
・継続看護カンファレンスの開催件数
・外来看護師のICの場での同席
・地域連携の実施件数
・療養指導実施件数
・患者・家族等への連絡件数
・管理栄養士による栄養指導の件数
・院内他部門との連携件数
・治療継続率/受診中断率
・平均在院日数
・再入院率
・服薬アドヒアランス
・患者満足度
・安心感
・栄養状態
・紹介受診重点医療機関としての逆紹介件数
・地域連携実施件数
・支援が必要な患者への訪問看護導入件数
・受診中断患者への対応件数
・継続支援の理由となった課題の解決
・本人や家族の困りごとの解決
環境・
物的資源
・患者支援センターの設置
・要支援外来患者のスクリーニングツールの有無
・スクリーニングツールへの標準化された項目の設定
組織 ・Patient Flow Management(PFM)システムの有無
・入退院支援加算の算定状況
・継続看護委員会設置の有無
・継続支援に関わる研修会開催の有無
・外来リーダーや継続看護委員への相談可能な体制の有無
・継続支援対象者の選定基準の設定
e.在宅医療部門による訪問看護の提供
〈取り組みID〉
・B病院-4
人員 ・部署別看護師配置人数
・専門看護師・認定看護師などの配置割合
・他職種の職種別配置人数
・訪問看護導入パスによる手順の標準化の有無
・退院後の継続支援の実施件数
・停電・台風時の安否確認と入院希望の事前確認の有無
・訪問看護部門による病棟看護師との同行訪問実施件数
・病棟看護師から訪問看護部門への引き継ぎ件数
・訪問看護導入後の外来診療の継続件数
・患者の状態に応じた訪問頻度の調整実施件数
・患者宅への初回訪問実施件数
・地域の訪問看護事業所への引き継ぎ件数
・訪問看護部門看護師の診療科カンファレンスへの参加件数
・慢性疾患の症状コントロール
・安心感
・在宅療養継続件数
・在宅看取り件数
・看護師の職務満足
・看護師間の連携件数
・地域の医療機関との連携強化
環境・
物的資源
・病院附属訪問看護部門の有無
・在宅移行期支援体制の有無及び対象診療科
・訪問看護専用車両の有無
・訪問看護導入パスの有無
組織 ・地域の訪問看護事業所との連携体制の有無
・災害時用の安否確認システムの有無

1) ストラクチャー

外来における〈ストラクチャー〉は,外来看護の人員,環境・物的資源,組織の要素に分類された.

 (1)人員の要素

5つの外来機能で共通の指標として《看護師配置人数》があり,一般外来,専門外来,その他の部門ごとの合計人数,職位,保有資格別人数などが含まれた.《専門看護師・認定看護師などの配置割合》では,専門領域別,専従・専任の有無別の配置割合が含まれ,《他職種の配置人数》では,薬剤師,医療ソーシャルワーカー,メディカルアシスタントなど,職種別の人数が含まれた.

一方で,特定の外来看護機能に固有の人員要素も明らかとなった.たとえば,b.『専門的な外来看護』の人員の要素には,各専門外来を担当する《看護師の配置人数及び当番制度》が含まれ,c.『通信機器を用いた相談対応と支援』には,《電話対応業務を担う外来看護師の配置》などが含まれた.

 (2)環境・物的資源の要素

環境・物的資源の指標は,外来機能によって多岐にわたっていた.患者支援センターや地域医療支援室などを介した,a.『一元的な継続看護と療養支援』では,在宅療養や治療を継続する上で支援が必要な患者のスクリーニング,療養支援計画の立案,連絡票や電子カルテシステムを使用した情報共有,必要時に地域資源に繋ぐなどの支援を行っていた.このような外来機能の環境・物的資源の要素には以下の指標が含まれた:物理的環境に関しては《プライバシーを確保できる個室の有無》など.記録・情報共有システムに関しては《電子カルテシステムの有無》,《地域連携パスの有無》など.多様な外来の部門に関しては《看護専門外来の設置》,《機能分化した部門の設置(例:入院支援部門,退院支援・調整部門,地域連携部門,外国人医療サポート部門)》,《当該部署・部門が有する機能(例:入院前薬剤指導・持参薬管理,病床管理,退院支援,在宅医療,介護申請相談,臨床心理支援)》など.

b.『専門的な外来看護』に係る機能には,「骨折リスクに対する包括的な療養指導を提供する骨粗鬆症看護外来(骨粗鬆症看護外来)」,「在宅酸素療法を受ける患者を支える呼吸器看護外来(HOT外来)」,「重症化・合併症予防のための外来糖尿病療養指導(糖尿病療養指導)」,「皮膚・排泄ケア認定看護師によるストーマ外来(ストーマ外来)」,「術前の支援により術後回復と早期退院を促す周術期外来(周術期外来)」の5つの取り組みが含まれた.このような外来機能の環境・物的資源の要素は,専門領域に関わらず共通する指標(《専用個室の確保》,《電子カルテによる情報共有体制》など),専門領域ごとに設定すべき指標(《看護専門外来の設置及びその専門領域》,《専門外来対象患者の選定基準》など),専門領域に特徴的な指標(ストーマ外来―《タブレット端末を活用した訪問看護師との連携体制(例:皮膚画像の確認)》など)に分けられた.

外来看護師は外来患者からの「症状や受診などに関する様々な電話相談に対する判断と対応」や患者の症状やセルフケアの状況などを確認するための「電話訪問による状態の聞き取りと患者指導」など,c.『通信機器を用いた相談対応と支援』を実施していた.このような外来機能の環境・物的資源の指標には,《代表電話から各診療科の外来看護師に電話を繋ぐフロー》,《患者用の電話連絡説明資料の有無》などが含まれた.

d.『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』には,「気になる外来患者に対する支援体制づくり」と「ナビシートを活用した支援対象者のスクリーニングと地域連携」が含まれ,継続的な支援が必要な患者を外来でスクリーニングし,必要な支援に繋げる取り組みを実践していた.このような外来機能の環境・物的資源の指標には,《患者支援センターの設置》,《要支援外来患者のスクリーニングツールの有無》などが含まれた.

e.『在宅医療部門による訪問看護』に係る外来機能には,「在宅医療室の看護師による退院患者への訪問看護の提供」が含まれ,看護師が退院した糖尿病や心不全などの慢性疾患,誤嚥性肺炎,腹膜透析の患者等の自宅を訪問し,在宅療養へスムーズに移行できるよう支援していた.このような外来機能の環境・物的資源の指標には,《病院附属訪問看護部門の有無》,《在宅移行期支援体制の有無及び対象診療科》などが含まれた.

 (3)組織の要素

a.『一元的な継続看護と療養支援』及びd.『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』では,主に入院予定患者の入院前から患者の情報収集や評価,入院の説明などを診療科横断的に実施する《Patient Flow Management(PFM)システムの有無》,《入退院支援加算の算定状況》,《継続看護委員会設置の有無》などが含まれた.b.『専門的な外来看護』には,《訪問看護との連携体制の有無》,《プラチナナース(定年退職前後の看護職員)による福祉相談の仕組み》など,e.『在宅医療部門による訪問看護』には,《訪問看護事業所との連携体制の有無》,《災害時用の安否確認システムの有無》が含まれた.

2) プロセス

プロセス指標は外来機能ごとに多様であったため,ストラクチャーのような下位の分類は実施しなかった.まず,a.『一元的な継続看護と療養支援』に係るプロセスでは,入院患者の円滑な入院医療及び外来・地域への移行のために患者支援センターや外来などによる一元的な療養支援が実施されていた.指標には,《病棟から外来への継続看護依頼件数》,《外来看護師による退院前ベッドサイド訪問件数》,《入院支援時の各種アセスメントの実施[褥瘡危険因子,栄養状態,持参薬など]》,《フレイル予防指導件数》,《患者目標設定件数》などが含まれた.

b.『専門的な外来看護』に係るプロセスでは,患者の疾患や状態,入院目的に応じた情報収集,アセスメント,療養指導が実践され,専門領域や外来の目的に応じて異なる指標が含まれた:骨粗鬆症看護外来《療養指導件数》,《標準化された患者支援フローの有無》など.HOT外来《在宅酸素療法導入後の初回自宅訪問実施件数》,《機器トラブルへの対応》など.糖尿病療養指導《地元企業からの患者紹介モデルの構築》,《合併症評価件数》,《糖尿病療養指導件数》など.ストーマ外来《緊急手術におけるストーマサイトマーキング実施件数》,《病棟から看護専門外来への相談件数》,《看護専門外来による退院直後のフォローアップ件数》など.周術期外来《術前のインスリン療法や吸入療法の開始件数》,《術前説明・心理的支援実施件数》など.

c.『通信機器を用いた相談対応と支援』に係るプロセスでは,患者からの電話相談への対応や必要なタイミングで看護師が症状などの確認の連絡を行う電話訪問などの支援が実践され,指標には《電話相談》,《電話訪問》などが含まれた.

d.『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』に係るプロセスでは,外来で支援が必要な患者を見つけ,療養や生活に関する聴取を行い,必要に応じて地域の専門職と連携して継続的な支援を行っていた.これらの取り組みはしばしば診療報酬の枠組みの外で実践されていた.指標には《支援の必要性についてのスクリーニング実施件数》,《外来で開始した継続支援件数》,《緊急対応件数》,《継続看護カンファレンスの開催件数》などが含まれた.

e.『在宅医療部門による訪問看護』に係るプロセスでは,みなし訪問看護事業所として病院看護師による自宅訪問,在宅看護が提供されていた.プロセス指標には,《退院後の継続支援実施件数》,《停電・台風時の安否確認と入院希望の事前確認の有無》,《訪問看護部門による病棟看護師との同行訪問実施件数》などが含まれた.

3) アウトカム

各外来看護の機能に応じて,期待されるアウトカムは多様であったが,治療継続率など複数の外来機能に共通する指標も含まれた.また,外来看護の取り組みのアウトカムを明確に設定していないプロセスや,アウトカムのデータを収集・評価していないケースも含まれた.

a.『一元的な継続看護と療養支援』に係るアウトカムには,以下の指標が含まれた:《治療継続率/受診中断率》,《受診中断患者への対応件数》,《平均在院日数》,《服薬アドヒアランス》,《患者満足度》,《安心感》,《フレイル予防》,《患者の目標達成》,《入院延期の減少》,《手術延期の減少》,《紹介受診重点医療機関としての逆紹介件数》,《病床管理の効率化》,《入院支援に要する時間の短縮》など.

b.『専門的な外来看護』に係るアウトカムは,専門領域を超えて共通するアウトカム指標の他,療養指導の対象に応じた固有のアウトカムが多く含まれた.各専門領域に共通する指標は,《再入院率》,《在院日数》,《症状悪化の早期発見》,《生活の質(QOL)の向上》,《栄養状態の改善》,《多職種連携》,《地域連携》などであった.

次に専門領域ごとのアウトカム指標は以下の通りだった:骨粗鬆症看護外来《骨折リスクの軽減》,《骨粗鬆症外来利用件数》,外来糖尿病療養指導《合併症・重症化予防(例:透析予防,足潰瘍の進行予防)》,《疾患のコントロール[HbA1c]》,《特定行為研修修了者によるインスリン調整件数》,ストーマ外来《ストーマ外来受診患者数》,《退院前の病棟訪問による指導件数》,《皮膚トラブルの対応件数》,周術期外来《手術延期件数》,《早期離床》,《術後合併症の発生件数》など.なお,呼吸器看護外来では他の専門領域と共通の指標のみ聴取された.

c.『通信機器を用いた相談対応と支援』に係るアウトカムには,電話相談,電話訪問で共通の指標が含まれた:《疾患の重症化予防件数》,《時間外受診件数》,《意思決定支援件数》など.

d.『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』では,高齢者世帯や独居世帯,生活保護受給者,医療と介護両面でのケアニーズ,服薬管理や生活状況などから,外来で継続的な支援が必要と思われる患者を見つけ,支援に繋げていた.明確なアウトカムの設定や評価がされていないケースが多く,インタビュー及びディスカションをもとに検討されたアウトカム指標には以下の項目が含まれた:《治療継続率/受診中断率》,《平均在院日数》,《再入院率》,《服薬アドヒアランス》など.

e.『在宅医療部門による訪問看護』に係るアウトカムには以下の指標が含まれた:《慢性疾患の症状コントロール》,《安心感》,《在宅療養継続件数》,《在宅看取り件数》,《看護師の職務満足》など.

Ⅴ. 考察

本研究では,インタビューを通じて患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組みについて聞き取り,外来看護に関わるストラクチャー,プロセス,アウトカム指標を検討した.分析の結果,14の外来看護の取り組みから5つ外来看護の機能,a.『一元的な継続看護と療養支援』,b.『専門的な外来看護』,c.『通信機器を用いた相談対応と支援』,d.『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』,e.『在宅医療部門による訪問看護』が抽出された.さらに,これらの外来機能を提供するためのストラクチャー,看護行為のプロセス,期待されるアウトカムに関する指標が整理された.

1. 外来看護に関するストラクチャー指標

本研究のストラクチャー指標は,人員,環境・物的資源,組織の側面から整理した.人員の要素は,外来看護に携わる看護師の配置人数などの量的指標と保有資格などの質的指標に分けられ,環境・物的資源では患者支援センターなどの多様な機能を担う外来部門の情報も指標に含まれた.外来における看護師配置は,1948年の医療法施行規則施行以来30対1の基準のままとなっている(厚生省,1948).しかし,日本の医療は患者の在院期間の短縮や疾病構造の変化などにより,治療や療養の場が入院医療から外来,地域へと移行しており(厚生労働省,2023),このようなパラダイムシフトを経て,外来看護師が担う役割及び業務量は拡大している(数間,2024).本研究でも,外来看護師は外来の様々な部門において,患者の療養継続に必要な多様な支援を提供していたことから,従来の外来看護師の配置基準の見直しや診療報酬上の評価が必要と考えられる.部門ごとの効果的で適切な人員配置を提案するためには,本研究で整理された人員に関する定性的・定量的な指標についてデータを収集し,実態の把握と効果的な人的資源の配分を検討することが求められる.

環境・物的資源では,電子カルテシステムや個室環境の確保,機能別部門の設置,タブレットや電話の設置・活用などの指標が整理された.在宅療養指導に関する診療報酬では,個室等が要件化されている場合がある(厚生労働省保険局医療課,2024).本研究の対象施設においても,患者相談窓口を外来診療科の近くに設置してスタッフや患者の動線を考慮しながら,患者のプライバシーを確保できる環境整備に取り組んでいた.さらに,電子カルテシステムや紙の連絡票などを用いて,継続的な支援を要する患者をスクリーニングし,支援につなげていた.このような継続的な支援の実施にあたっては,他の看護師や職種と情報共有を行い,連携して支援することが重要である(大原ら,2019).プライバシーを確保できる個室環境や部門・職種間の連携を促進するための情報共有システムなど,質の高い外来看護を提供するための環境面を評価する指標が必要であることが示唆された.

組織の要素では,例えば『一元的な継続看護と療養支援』は,入院前から退院後までの継続的な支援を促進するためのPFMシステムの有無や入退院支援加算の算定状況,継続看護委員会の設置などが含まれた.PFMとは,急性期病院において,患者(Patient)の入院に際し,入院前から退院後までの一連の流れ(Flow)をコントロールし,入院前から患者が安心して安全に医療を受けられるように支援するマネジメント(Management)である(西澤,2019).医療機関は患者への影響と医療経済的理由から平均在院日数の短縮が求められ,従来の病棟看護業務を外来へ移行させるなど,PFMが見直されている(前田ら,2023).先行研究ではPFMがもたらす効果として患者の入院から手術までの期間の短縮や患者満足度の向上が示唆されており(Sakai et al., 2024),今後はPFMシステムのデータの蓄積も重要であると考えられる.組織に関する指標は少なかったものの,どのような組織体制で外来看護が提供されているかについてデータを収集する必要がある.

2. 外来看護に関するプロセス指標

プロセス指標には,病棟から外来への継続看護の依頼件数や専門的な外来機能における療養指導件数,電話相談や電話訪問実施件数などが含まれ,外来看護の具体的な活動内容と実施頻度を把握する指標としての活用が見込まれる.日本の診療報酬では,「患者が安心・納得して退院し,早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように,施設間の連携を推進した上で,入院前・早期より退院困難な要因を有する患者を抽出し,入退院支援を実施すること」の評価として入退院支援加算1から3が設けられ(厚生労働省,2024b),対象の全施設で「入退院支援加算1」が算定されていた.しかし,『一元的な継続看護と療養支援』に係るプロセスは上記加算対象外の患者に対しても実施され,入院を介さない『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』では,主に診療報酬の枠組みの外で病院負担のもと実施されていた.外来の在宅療養指導に関わる診療報酬の算定対象は拡大しているものの(数間,2024),地域の専門職との連携や在宅療養の調整など,在宅療養支援に係る評価は今後の課題と考えられる.本研究のプロセス指標のデータを収集し,患者や病院アウトカムへの影響を評価することで,外来看護に関する診療報酬や政策の根拠としていくことが必要である.

3. 外来看護に関するアウトカム指標

対象施設では多様な外来看護の取り組みが実践されていたものの,患者アウトカムを設定し,データを収集・評価している取り組みは限られていた.このことから,外来看護の取り組みの効果は十分に評価されていない現状が課題として再認識された.特に看護の効果は特定の行為によって1つの特異的なアウトカムを改善させるという性質ではない場合も多く(山本・柄澤,2025),このような特性が,外来看護のプロセスとこれに関連するアウトカムを選定し,質や効果を評価することを困難にしている可能性がある.今回,アウトカム指標には《治療継続率》や《再入院率》など医療機関の外来患者全体に関わる指標が含まれた.外来看護の質を長期的かつ包括的に評価する指標が含まれた点が特徴的であり,このようなアウトカム指標を医療機関で収集し,例えばプロセスごとに評価することで,外来看護の質の可視化や改善のための方策を検討する根拠となる可能性が示された.

一方で,『専門的な外来看護』のように,特定の集団に対して専門的な看護(疾患別の療養指導や術前支援など)が提供され,対応するアウトカムを評価している医療機関もみられた.このような外来看護の機能では,プロセスに特異的なアウトカムの評価が有用である可能性がある(例えば,糖尿病療養指導よる合併症予防,周術期外来による手術延期件数の減少など).外来看護の質の評価においては,個々の外来看護の機能に応じて,適切なアウトカム指標を設定する必要がある.本研究により作成された指標は,外来看護の実践に関する継続的なデータ収集と質の評価の実効性を高める可能性がある.

4. 本研究の限界と臨床への示唆

本研究の主な限界は2つある.1つ目は,対象医療機関は4施設と少なく,外来患者の多様なニーズに対応する外来看護の組織的な取り組みが網羅されていない可能性がある.特に,療養指導や周術期看護を担う『専門的な外来看護』については,国内で多様な看護専門外来が設置されており(日本看護協会,2022),今回聴取できなかった分野の指標が不足している.本研究に含まれなかった看護専門外来の分野についても将来的に調査し,専門分野ごとに指標を追加することで,多様かつ専門的な外来看護の可視化につながると考えられる.2つ目に,本研究では指標間の関連やデータ収集の実現可能性は評価できていない.今後は,プロセスの改善によるアウトカムへの効果検証や指標に関する効率的なデータ収集の方法とデータソースを検討し,臨床への実装性を高めることで,外来看護に関するデータベースの構築や外来看護の質のベンチマーキングに活用できる可能性がある

Ⅵ. 結論

患者の多様なニーズに対応して,外来看護の組織的な取り組みを実施している医療機関の看護師を対象としたインタビュー調査を通じて,多様な外来看護の取り組みと機能が明らかになった.外来看護師は各科診療の補助のみならず,入院前から退院後までの『一元的な継続看護と療養支援』の提供,療養指導や周術期看護を担う『専門的な外来看護』の提供,遠隔からの『通信機器を用いた相談対応と支援』の提供,『支援が必要な外来患者のスクリーニングと継続的な支援』の提供,『在宅医療部門による訪問看護』の提供といった,多様かつ高度な機能を担っていた.また,これらの機能に対応するストラクチャー,プロセス,アウトカムの各指標が整理された.外来看護のプロセスやアウトカム指標に関するデータを継続的に収集,評価している事例は限定的であった.今後は,外来看護の機能に応じて適切なアウトカムを設定し,現場の負担を抑えながらデータを収集・蓄積する仕組みをつくり,外来看護の質の評価・改善に繋げていくことが期待される.

謝辞:本研究の実施にあたり,調査にご協力いただいた医療機関の関係者の皆様に深く感謝申し上げます.なお,本研究は公益社団法人日本看護協会からの研究助成を受け,公益社団法人日本看護協会と東京大学の共同研究の一環として実施されました(看護の質向上に資する看護政策評価のためのデータベース構築に向けた準備研究[研究代表者:仲上豪二朗]).

利益相反:久貝波留菜,林田賢史,矢坂泰介は,東京大学と公益社団法人日本看護協会との社会連携講座である,ナーシングデータサイエンス講座に所属している.秋山智弥は,公益社団法人日本看護協会の協会長を務めている.

著者資格:林田賢史,秋山智弥は研究の着想,デザイン,データ収集,分析,研究プロセスのマネジメントに貢献;磯部環,高橋好江,井上真帆,久貝波留菜はデータ収集,分析,草稿の作成,研究プロセスのマネジメントに貢献;キタ幸子は研究のデザイン,研究プロセスのマネジメントに貢献;仲上豪二朗は研究のデザイン,分析;すべての著者は,原稿への示唆および研究プロセス全体への助言を行い,最終原稿を読み,承認した.

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