日本看護科学会誌
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胃がん術後患者の栄養状態回復と, 摂食行動および心理社会的要因との関連に関する研究
その3. 身体計測による栄養状態回復評価指標の検討
数間 恵子石黒 義彦
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1992 年 12 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

胃がん術後患者の栄養状態回復評価として, どの身体計測値を重視すべきかを明らかにするために, 再発徴候のない患者64例を退院1年後まで追跡し, 体重および上腕計測値の推移を調べて, 退院後の摂食量, 体重回復希望との関連を検討し, 以下の知見を得た.
1. 胃がん術後患者の体重回復は不良で, 退院後半年以降はほとんど変化がなかった. 退院後, TSFは顕著な減少を示したが, AMCは僅かに増加していた.
2. 退院半年後の摂食量は術前の73%と減少し, 各計測値の半年後の低下を裏づけていた.
3. 体重回復希望は%体重が低いほど強く, 回復希望有無の分岐点はほぼ85%と推定された.
4. 半年後の%体重が86%以上の群では, %体重と%AMCの平均値は90%以上を維持していた. %体重が85%以下の群では, %AMCは89%であったが, TSFの枯渇が顕著で, それが%体重の低下に反映し, %体重と%AMCの値の解離が大きかった.
5. %AMCは筋力と関連するため日常生活遂行上重要なこと, 体重の変化は, TSF, AMC両者の変化により相殺されることから, 回復評価にはAMCを重視すべきことが示された.

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