日本看護科学会誌
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セルフケア行動とQuality of Lifeとの関連性からみた老年糖尿病患者の看護目標
横山 美樹野口 美和子正木 治恵
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1992 年 12 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

老年期に糖尿病が発症した患者の看護目標をセルフケア行動とQOLとの関連性から検討する目的で, 107人を対象に食事療法を中心とするセルフケア行動, それに伴う考え方, 感じ方, 糖尿病が与える影響とSelf-Esteem, 主観的幸福感について質問紙法による調査, 分析を行い以下の知見を得た.
1) 本研究における老年糖尿病患者のセルフケア行動の特徴として, (1) 食事療法の必要性を認め前向きに取り組んでいるが, 実施方法では「主食の量を守る」という者が大部分で, 厳密なコントロールを実施している者は少数であること, (2) 糖尿病によって最も強く感じている制約は「食事が制限されていること」であったが, 社会生活上の制約を感じている者はほとんどいないこと, があげられた.
2) 積極的なセルフケア行動とQOLが高いことは関連が認められた. このことから老年糖尿病患者の看護目標として, セルフケア行動をとることで主観的健康観を高め, またセルフケアの努力を医療者や家族が認め, サポートを提供することてでQOLを高めていくという観点が大切である.

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