日本看護科学会誌
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妊娠期における母親役割獲得プロセスと共感性の関連について
石井 邦子森 恵美前原 澄子
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1997 年 17 巻 4 号 p. 37-45

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抄録
本研究の目的は妊娠期の母親役割獲得プロセスと共感性の関連を明らかにすることであった. 67名の妊婦の共感性を多次元共感測定尺度を用いて測定し, 抽出された高共感性群13名と低共感性群9名を対象に, 妊娠12週から30週にわたり, Rubinの概念に沿った内容の半構成的面接を行なった. 得られた結果から以下のことが明らかになった.(1)“取り込み-投影-拒絶”まで進んだものが高共感性群は13名中8名, 低共感性群は9名中2名であった.(2) 高共感性群は低共感性群に比べ,“模倣”をより多く行い,“ロールプレイ”のパートナーが身近に存在し,“空想”を早くから開始し,“悲嘆作業”によって新しい自己を思い描いている傾向があった.(3) 高共感性群は低共感性群に比べ, 妊娠前の母親役割のレディネスが高く, 妊娠中に役割モデルと接触するチャンスが多く, より早い時期により強い“ビンディングイン”を形成していた.
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© 公益社団法人 日本看護科学学会
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