日本看護科学会誌
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父親役割への適応における父親のストレスとその関連要因
岩田 裕子森 恵美前原 澄子
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1998 年 18 巻 3 号 p. 21-36

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抄録

本研究の目的は, 父親役割への適応における父親のストレスとその関連要因を明らかにすることである.2~5ヶ月児の父親183名を対象として質問紙調査を行い、以下の結果を得た. 1) 児出生後2~5ヶ月において, 父親役割に関連して経験するストレスは決して高いとは言えず, 父親であることに喜びを感じている. 2) 父親になったという事実について肯定的に捉えている者はストレスが低く, 社会的支持に対する満足度が高い者ほどストレスが低い. また対処については, 前向きに努力していたり肯定的に考えていたりする者はストレスが低く, 父親役割遂行に対して消極的な態度をとっている者はストレスが高い傾向にある. 3) 子ども1人の父親では, 夫婦関係が良く, 出産体験についての満足度が高く, 妻が就業しておらず, 出産準備クラスへ参加した者の方が, よりストレスが低い. 子ども2人以上の父親では, 夫婦関係が良く, 育児の手伝いがいない者の方が, よりストレスが低い.
以上の結果より, 父親役割への適応を促すためには, まず父親が子どもの誕生や父親役割をどのように捉えているか, 必要な社会的支持があるのか, 生活や役割の変化に対してどのように対処しているのか, これら3点をアセスメントすることが重要なことが明らかとなり, いくつかの看護援助の有効性が示唆された.

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