日本看護科学会誌
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気管内挿管チューブのカフ上部への間欠的洗浄による循環動態の変化
柴山 健三盛田 麻己子天野 瑞枝伊藤 小百合足立 はるゑ渡辺 トシ子
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1998 年 18 巻 3 号 p. 37-44

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抄録

気管内挿管中に発生する肺感染症は,上気道分泌物が気管内チューブのカブを介して下気道への吸引をおもな原因としている. その予防に間欠的上気道洗浄 (上気道洗浄) は有効な方法である. だが, 上気道洗浄する上気道の知覚は, 迷走神経 (上喉頭神経) と舌咽神経に支配されているため, 上気道洗浄による刺激によって循環系への影響が大きいことが考えられる. したがって, 上気道洗浄が安全な看護技術であるかどうかを確認するため, 上気道洗浄による循環系への影響を検証する研究を試みた.
意識障害の患者群は, 上気道洗浄20秒後よりRPP値が増加した.さらに, 意識清明で塩酸ドーパミン多量使用の患者群は, 5日間に20回上気道洗浄を実施すると, RPP値増加が抑制されていった. これらの結果より上気道洗浄は意識障害の有る患者へは洗浄直後より循環系へ注意する必要があり, 意識清明な患者は頻回の吸引刺激によって気道粘膜の閾値が上昇したことにより循環系への影響が減少することが示唆された.

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