1998 年 18 巻 3 号 p. 56-66
小児用HLC尺度を小学4年から中学3年までの健常児と小児慢性疾患児に適用した. その結果, 内的統制と他者統制においては, 小学4年から6年までは慢性疾患児と健常児とに差異はなかった. 一方, 内的統制では中学1年から3年では慢性疾患児が健常児より低い得点であった. 他者統制では慢性疾患児が中学3年で健常児より高い得点であった.
この健常児と慢性疾患児の差異, 特に中学1年から3年までの差異から, 慢性疾患児は病気体験によって内的統制を低下させていることが示唆された.
小児慢性疾患児に関わる医療関係者は, 小児慢性疾患児の健康に関連する意思決定における依存傾向や自律性の阻害を認識する必要があろう.