抄録
本研究の目的は, 在宅療養者の自己決定を支える訪問看護婦の認識と方略を, 訪問看護場面の参加観察と, 訪問看護婦との面接によって明らかにすることである. 対象は訪問看護婦20名と在宅療養者20名であった.
分析の結果, 訪問看護婦の認識の特徴は『選択・決定は在宅療養者自身がする』『気持ちに添う』『在宅療養者に問題を自分のこととして考えてもらいたい』『自分の役割を言葉で伝える』『気持ちに添うことと看護婦の役割意識とのズレの調整』の5カテゴリーが抽出された. さらに方略の特徴は『意志や希望をきく』『動機づけをする』『情報提供する』『一・緒に考える』『同意をえる』『認める』『意欲を引き出す』の7カテゴリーが抽出された. 訪問看護婦が療養者の自己決定を支えるためには, 短い関わりの中で対象の意志を確認する技術と, 対象の意志を優先していい状況なのか見極める能力が求められる.