日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
ダブルバルーン内視鏡で虫体を摘出し得た小腸アニサキス症の1例
高原 浩高原 聡
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2013 年 55 巻 1 号 p. 22-27

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抄録
症例は31歳の女性.昼食でサバの刺身を食べ,その翌朝4時頃より腹痛,悪心を認め来院した.超音波検査で,骨盤腔に腹水があり,小腸壁の肥厚が認められた.上部消化管内視鏡で異常はなく,経口的消化管造影で,回腸の異常拡張と,それに続く肛門側回腸の狭窄,拇指圧痕所見をみとめた.経肛門的ダブルバルーン内視鏡で,大腸には異常がなかったが,回腸粘膜は終末部より著しい浮腫状を呈し,深部回腸にアニサキス虫体を発見し,生検鉗子により摘出した.腹痛は急速に消失し,腹水も二日後にはほとんど消失した.本症例は小腸アニサキスを小腸内視鏡で発見し摘出し得た初めての報告例であると考えられた.
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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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