1999 年 19 巻 1 号 p. 23-30
本研究の目的は, 看護職がとらえている在宅高齢者の閉じこもり現象の構造を明らかにし, この現象に影響している因子を抽出することである. 地域で働く看護職23名にADLが低下・改善したケースについて半構成的面接を行い, その逐語録をデータとし, 質的分析を実施した.
その結果, 閉じこもり現象は行動範囲が家や寝床に限られている状態をさし, さらに移動能力, 生活行動の活動性にて関係づけられた. また, 移動能力を十分に活用した行動範囲を保持していない「閉じこもり」と, 移動能力が低く行動範囲が家に限られている「閉じこめられ」があることが示された. さらに, 行動範囲が家に限られていても生活行動の活動性が高い場合は, 閉じこもり現象を呈してはいないことが示唆された. 閉じこもり現象の影響因子には, 障害の受けとめ方, 意欲, うつ症状, 住居環境, 人との関わり, サービス利用, 起こす・連れ出す働きかけ, 家族の介護機能が抽出された.