日本看護科学会誌
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小児糖尿病患者の日常生活習慣, 療養行動と親のライフスタイル
中村 伸枝兼松 百合子武田 淳子丸 光恵松岡 真里内田 雅代二宮 啓子今野 美紀谷 洋江
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1999 年 19 巻 3 号 p. 74-82

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抄録

本研究の目的は, 1) 親のライフスタイルを, 日常生活習慣, 健康責任, 自己実現, ストレスとストレス管理, 子育てに関する態度に焦点をあて, それらの関連を調べること, 2) 患児の日常生活習慣および療養行動と親のライフスタイルとの関連を調べることである. 対象は, 外来受診中の6~18歳の小児糖尿病患者46名と, 付き添いで来院した親 (母親42名, 父親4名) であった. 患児には日常生活習慣と療養行動に関する2種類の質問紙調査を行い, その親には日常生活習慣, 健康責任, 自己実現, 日常のいらだち事, ストレス管理, 子育てに関するpositiveな態度と, negativeな態度, および疾患関連ストレスの8カテゴリーから成るライフスタイルについての質問紙調査を行った.
その結果, 1) 親の健康責任と自己実現, ストレス管理, および, 子育てpositiveと自己実現, ストレス管理には相関がみられた. 2) 親が「朝すっきり起きられる」ことは, 親のライフスタイルのカテゴリーの多くと相関が見られた. 3) 患児の日常生活習慣は, 親の日常生活習慣の「就寝時間」「歯磨き」のみと相関がみられた. 4) 患児の療養行動が適切なことは, 親の自己実現が高いこと, 疾患関連ストレスが少ないこと, 子育てがnegativeでないこと,「朝すっきり起きられる」「就寝時間」「外出後の手洗い」と相関がみられた.
結果より, (1) 親が自分の健康に関心を向け, 子育てを楽しんだり, 子どものよい面に目を向けられるように働きかけること, (2) ストレスが高い親, 特に患児の療養行動が不適切な親に対し, 親のストレスを緩和し, 子どもに支持的に関われるような看護援助を行うこと, (3) 親の就寝時間や清潔行動など実際の行動を適切にすることで, 患児がモデルとして取り込めるようにする看護援助が大切であると考えられた.

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