抄録
神経疾患患者への退院指導と退院後の患者の問題に関するナースの予測を評価するために, これらが退院1ヶ月後の患者の問題とどの程度対応するかを検討した. 神経内科病棟の退院患者107名と病棟ナース21名に自記式質問紙調査を行い, 11の問題領域に関して指導・予測・問題発生の有無を調べた. ADLの問題は指導頻度・予測精度とも高いが問題発生頻度も高く, 退院後の連携と効果の高い指導が必要である. 医療処置・服薬は指導が高頻度で問題の発生も少なく現状を評価できた. これら以外の疾患管理, 不安, 家族関係, 仕事・社会生活, 生活上の楽しみ, 住宅環境の各問題領域では指導頻度が問題発生頻度に比べて低く, 指導がまず必要である. 経済の問題では更に予測頻度が低く, ナースの意識向上が課題である. 社会資源活用では指導すれば問題が発生しないが, 指導せず問題発生した場合も多く, 指導の必要な患者の見極めが課題である.