日本看護科学会誌
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低位前方切除術・前方切除術を受けた大腸癌患者のQuality of Life (QOL)
-排便機能障害とQUIK-Rの関連-
今井 奈妙城戸 良弘
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2001 年 21 巻 3 号 p. 1-10

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抄録

本研究の目的は, 低位前方切除術 (LAR) や前方切除術 (AR) を受けた患者の退院後の排便機能障害とQOLの実態を把握し, それらの関係を検討することであった.
質問紙は, 排便障害評価尺度 (DDAS) と自己記入式QOL質問表 (QUIK-R), およびデモグラフィックシートから構成し, 正ARまたはARを受けた後3年以内にある患者192名が研究対象となった. 対象者の平均年齢は64.6歳 (SD=10.4) であった. データの分析には, Mann-Whitney検定, Kruskal-Wallis検定, Spearman's順位相関, 重回帰分析 (step-wise法) を使用した.
ARを受けた対象者に比較して, LARを受けた対象者でDDASの得点が有意に高く, DDASとQUIKRには正の相関が見られた. 特に強い相関があったのは,「Soiling」であった. また, 重回帰分析ではQUIK-Rの得点変動の22.3%がDDASと術式によって説明された.
これらのことより, 外来通院をする大腸癌術後患者においては, 術式が排便機能障害の程度に影響し,「Soiling」等の排便機能障害がQOLに影響していることが示唆された.

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