抄録
本研究は, 精神科看護の看護活動の類型化をはかることを目的とした.
研究方法は, 文献から3, 006の看護行為を抽出し, それをもとに84看護行為に整理し, 641名の看護i師を対象として, 84看護行為の活用の頻度等について調査を行い, 記述統計や因子分析を行った.その結果をもとに研究者間で検討を繰り返し, 20の看護活動に分類し, これを「精神科の看護活動分類案」とした. さらに, 10名前後の看護師からなるフォーカスグループを3回開催し, 妥当性を確認した. この結果を受けて, 研究メンバーで検討を重ね, 最終的に18の「精神科看護の看護活動分類」が作成された.
この結果に基づき本研究では,[精神科看護は《関わりの基盤》を土台に,【拡大強化】【方向づけ】【保護】【解放】の4つの目的に向かって看護活動を行っている]という仮説を提案するに至った.《関わりの基盤》は『関心をよせる』『尊重する』の2つの看護の姿勢からなる.【拡大強化】は『セルフコントロールを促す』『社会人としての自覚を促す』『振り返りを促す』『継続して力をつける』『具体性をもたせる』『意志・意欲を強める』『人と場を拡げる』,【方向づけ】は『教育的に関わる』『方向性を示唆し進めていく』『話し合う』『契約する』『動きを見守る』『指示する』,【保護】は『補う』『保護的調整をする』『制限する』,【解放】は『楽しませる』『安らぎを提供する』からなり, この18の看護活動はさらに74看護行為からなるものである.