抄録
保健師が乳幼児健診で用いている技術と実践活動内容を明確にすることを目的として, グラウンデッドセオリー法による質的帰納的研究を行った. 本稿では, 保健師が対象を捉え見極めていくプロセスに焦点を当てた.
5府県11の市町村に勤務する経験年数5年以上の17人の熟練した保健師を対象とし, 半構造的面接と参与観察によりデータを収集し, 継続的に比較分析した.
本研究では, 保健師が健診において対象者に援助を行う前に《援二助の必要性の見極め》を行っていることが見出された. このプロセスは,〈センシティブな視点で見る〉,〈思いの根を引き出す〉,〈問題を明確にする〉,〈受けとめを予測する〉という4つのカテゴリで説明された. これらは, 保健師が母親とのやり取りを進めていく中で同時的, 複合的, また繰り返し行われているものであった.
これらの結果は, 保健師が健診において用いている, 対象への援助を意図した看護技術を示すものであり, 今後の保健師活動の質の向上に寄与できるものと考える.