日本看護科学会誌
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中絶を経験した女性のスピリチュアリティ
日比野 由利
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2005 年 25 巻 3 号 p. 3-11

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抄録

中絶を経験した女性のスピリチュアリティを明らかにすることが本研究の目的である.水子供養に参加した女性にアンケート調査を実施し, 自由記述のテクストを, 帰納的手法に基づいて量的・質的に分析した. 量的分析には, コンピュータのコーディング・ソフト (KT 2 system) を使用した. 量的分析から次の知見が得られた. (1) 肯定的感情と否定的感情はほぼ同じ頻度で観察された. (2) 肯定的感情は胎児との関連が強く, 否定的感情はパートナーや女性自身と関連が強かった. (3) 胎児に対する肯定的感情と, パートナーや自分自身に対する否定的感情とは女性の観念において並存しながらも区別されていた. 質的分析から次の知見が得られた. (4) パートナーの理解や供養への参加は重要であった. (5) 生まれ変わりの観念や失った胎児との絆 (内的対話・交流) が, 中絶を経験した女性のエンパワーに繋がっていた. (6) 中絶の経験は, 女性が<生命>に対する感受性を育む契機となっていた.

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