日本看護科学会誌
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ディスチャージプランニングのプロセス評価尺度の開発と有用性の検証
千葉 由美
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2005 年 25 巻 4 号 p. 39-51

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抄録

目的: 本研究では, DCPプロセスの評価尺度(Discharge Planning-Process Evaluation Measurement: DCP-PEM)を開発するとともに, DCP-PEM の有用性の検証を目的とし, 調査を実施した.
方法: 対象者は病棟看護師で, DCPを導入しているA病院69名, 通常業務を実施しているB病院174名であった. 調査内容は, 基本属性, DCP-PEM, VAS (Visual Analogue Scale), NAS(看護専門職の自律性測定尺度)で, 自記式質問紙を用いた. 項目分析, 同時複数項目削減関連係数法 (CITC), 内的整合性Cronbach's α, G-P分析, DCP-PEMと外的基準のVAS, NAS との相関係数, 既知グループ技法で信頼性・妥当性検証を実施した. DCP-PEM の有用性の検証は質改善のための介入ツール使用の有無により, 介入前後でDCP-PEM の得点変化の比較および感度の検討を実施した.
結果: 1) DCP-PEM の各項目, 領域, 合計の得点の歪度, 尖度が±1.0以内で, CITC はすべて0.471以上と相関が高かった. 各項目, 領域, 合計の得点の Cronbach's α は0.76から0.96と高く, G-P 分析ではすべての項目で有意差がみられた. A病院のDCP-PEM, VAS, NAS の各領域得点, 合計得点は有意に相互の関連がみられ併存妥当性が検証された. 既知グループ技法では DCP-PEM の各領域, 合計の得点で, A病院のほうがB病院に比較し有意に高く, 構成概念妥当性が検証された. 2) 介入ツールを使用した群では, 使用しない群より DCP-PEM の得点は連動して有意に上昇していた項目がみられ, 感度がよく, DCP-PEMの有用性が確認された.
考察: 定量化された DCP-PEM の開発によって, DCPの包括的評価を可能とし, より効果的なDCPの実践に寄与するものと考える.

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