2008 年 39 巻 2 号 p. 94-101
水道により供給される水が備えるべき要件は,水道法に基づく水質基準として規定されており,このほか,水質管理目標設定項目等を定め,各項目の検査を実施することにより適切な状態を確保している.水道水の水質基準等への適合状況は総体的には極めて良好であるが,鉛,臭素酸等において基準に適合しない場合もあり,改善のための施策が講じられている.カビ臭の原因物質であるジェオスミン,2-メチルイソボルネオールは,快適性についても十分な考慮が払われるべきという考えから,平成15年改正により水質基準項目に追加された.
湖沼の富栄養化等の水道水源状況の悪化により,水道原水がカビ臭等による異臭味被害を受けた場合には,水道事業者が応急的な対応を行っているが,依然として,給水栓まで異臭味の被害を受ける事例がみられる.異臭味被害人口は平成2年度のピーク時に2000万人台まで増加したが,近年は300万人前後で推移している.水道事業者によっては活性炭やオゾンを活用した高度浄水処理の導入が進められている.