2008 年 39 巻 5 号 p. 314-320
山岳地におけるし尿処理問題は,1970年代の尾瀬の富栄養化に始まり,1990年代に起こった山岳地を水源とする河川における大腸菌検出を機に,再び問題視されることになった.こうした背景を受け,インフラが未整備な場所でも利用可能な非放流型し尿処理装置の開発が進んだが,環境保全効果等に対する客観的な評価が行われていないために普及が進まない状況にあったことから,環境省では2003年より,「環境技術実証モデル事業」に山岳トイレ技術分野を設け,技術の普及に努めることとなった.
本実証事業も5年が経過し,2008年より実施体制を強化し事業を推進していく.これまでは,技術の実証方法と実証体制の整備を中心に検討を進めてきたが,今後はユーザーである山小屋事業者等のニーズへの対応も検討していく.