抄録
近年,畜産経営に起因する悪臭苦情の発生は公式報告で年間1500-1700件を数えている.畜産農家の戸数自体は減少しつつあるが,その一方で家畜の平均飼養頭羽数の増加と悪臭規制の強化の傾向が続いており,苦情の原因となる農家の割合は徐々に上昇しつつある.一方,法律に基づく施設整備と排せつ物管理の改善が進められてきており,このことが多くの事例で悪臭問題の解消につながっている模様である.また,悪臭問題への対応として,対策技術の開発や改良,情報やアドバイスの提供等,さまざまなサポート体制も整備されてきている.