生体ガス測定と病気の診断について最近の知見をまとめた.消化器疾患のうち乳糖不耐症などの消化吸収異常や腸内細菌異常増殖の診断では呼気水素測定が最も有用な検査法である.肝疾患では呼気あるいは皮膚アンモニアが増加するが重症度との関連は少ないとの報告が多い.糖尿病では呼気アセトン測定の報告が多いが,その診断や重症度判定に有用か否かについては必ずしも意見が一致していない.しかし,糖尿病性ケトアシドーシスでは間違いなく有用である.呼吸器疾患では気管支喘息での呼気NO(一酸化窒素)測定がすでに臨床で使用されている.循環器系,感染症などに関する生体ガス測定についても触れた.今後,基礎的検討や大規模な疫学的検討などの研究を継続発展することが望まれる.