2018 年 49 巻 5 号 p. 297-304
人間の五感の中で最もデバイス化が遅れている嗅覚は,測定対象となるにおいが複雑な混合ガスであり,かつ時間的にも空間的にも変動が大きいことから実現に向けた技術的ハードルが高く,有効な社会実装に至っていない.しかし,近年の様々な革新的技術の開発により,いよいよ嗅覚センサの実現が射程に入りつつある.本稿では,著者らが研究開発している「膜型表面応力センサ(MSS)」を用いた多様なにおいの検出・識別において重要となる感応膜材料の開発について紹介したい.また,それらの感応膜材料に基づく多様なアプリケーションの可能性についても概観する.