におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
Print ISSN : 1348-2904
ISSN-L : 1348-2904
研究論文
臭気指数の算定手順の違いに関する確率論的考察
藤岡 薫 柳橋 泰生
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 54 巻 3 号 p. 172-184

詳細
抄録

三点比較式臭袋法の測定結果から臭気指数を算定する手順が悪臭防止法に基づき公定法として定められているが,同じ検体でもパネル選定で臭気指数が異なることがある.三点比較式臭袋法はパネルの嗅力を超えた測定ではまぐれ当たりによる偶然の的中が3分の1の確率で生ずる.また,現行の公定法では環境試料と排出口試料で異なる算定手順が用いられている.これらの課題に対し,本研究ではパネルの嗅力分布や偶然の正解を考慮しつつ,確率論的手法を用いて現行の算定手順と新たな算定手順を比較した.その結果,嗅力分布の標準偏差によらず臭気指数の平均が本来あるべき値に近くなるのは,同一希釈倍数の3回の測定すべてが的中した場合を正解とし個人閾値を求め,上下カット平均または中央値で臭気指数を求める手順であった.一方で上下カット平均を用いると,嗅力分布の標準偏差が大きい時に一定の希釈倍数の範囲では臭気指数が測定できない確率が高くなった.

著者関連情報
© 2023 (社)におい・かおり環境協会
前の記事 次の記事
feedback
Top