抄録
使用者には、在宅勤務をする従業員の健康の保持のため、労働安全衛生法令により求められる措置を講じると共に、在宅勤務をする従業員の健康状態を把握し、その内容・程度等に応じて、作業の転換や内容の軽減措置等を講じることが、健康・安全配慮義務の履行として求められる。その際、国や学会等が公表している指針やガイドラインについては、産業医等の適切な専門家の関与の下、遵守または参考にすべきであろう。使用者が、民事上の安全配慮義務を尽くさなかったために、在宅勤務をする従業員がうつ病になったり、エコノミークラス症候群になったりする等の健康被害を受けるようなことになれば、損害賠償等の責任を負うことになる。