1審被告Y1社に主任研究員として雇用されている1審原告Xが、Y1社における“月100時間超の残業が年4回に及ぶ過重労働”の後にうつ病になったところ、平成26年1月に労災認定を受けた後、XがY1社に安全配慮義務違反があると主張して、損害賠償を求めるとともに、Y1社の労務管理の不備およびX の直属の上司であるY2の嫌がらせ等が不法行為に当たるとして、慰謝料を求めた事案である。1審では、Xの疾病の業務起因性を認め、Y1社らの不法行為については、不当な減給と退職強要の事実を認め、そのうちY1社らが安全配慮義務違反に問われるのは、退職を迫った点のみであるとした北海道二十一世紀総合研究所ほか事件(札幌高裁 令元.12.19判決)を取り上げ、解説する。