日本創造学会論文誌
Online ISSN : 2433-4588
Print ISSN : 1349-2454
変容するオープン・イノベーションに関する一考察
―富士フイルムを事例として-
于 渓
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 22 巻 p. 39-52

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抄録

 現在,経営環境は激しく変化しており,企業はますます異なる業種から出てきたライバルとの競争に巻き込まれてきた。新しい競争関係の中で勝ち残るために,オープン・イノベーションが重要な位置づけを占めるようになっている。Chesbrough[1]はオープン・イノベーションの概念を提唱して以来,それに関する論争が多くなってきた。特に最近,オープン・イノベーションに対する認識が変わりつつある。 本稿は,富士フイルムの事例を通して,こうしたオープン・イノベーションの変容について考察することを目的とする。富士フイルムのオープン・イノベーションの特徴と課題を議論した結果,同社のオープン・イノベーションは以下の3つのステップに分けて推進されたことがわかった。① 銀塩カメラの時代において,技術インフラの構築を狙い,早期のオープン・イノベーションを試みた。②事業の転換期において,R&Dプロセスの延長線にある技術を求めるためにオープン・イノベーションを行った。③オープン・イノベーションの場を開設し,より多くの価値を創造するために異なる業種にある提携先とオープン・イノベーションを行っている。

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© 2019 日本創造学会
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