抄録
地場産業地域の多くが経営環境や需要の変化などにより衰退傾向にある中で、新たな知識習得を起因とする地場産業製品のイノベーション実現が衰退防止の対応策として近年注目されている。製品イノベーションの実現には知識創造とその習得が必要であり、そのためには、知識及び情報を持つ行為者としての社会単位であるアクターとの連携並びにその媒介が重要である。本研究は、地場産業企業とアクターとの連携並びにその媒介が地場産業製品のイノベーションに与える影響について、食品等を除き日本の消費者に最も製品が需要される陶磁器及び刃物産業を実証フィールドとして、アンケート調査並びに共分散構造分析を行った。その結果、地場産業企業の製品イノベーションの実現には、アクターとの連携と情報収集活動が寄与することが示された。また、アクターとの連携には媒介の活用が大きく寄与していることを示した。