抄録
本研究では,他者と直接関わり合いながら踊ることを重視したダンス授業を2事例取り上げ,授業観察と授業者へのインタビュー調査を通して,「他者との関わり」を創出するダンス授業の特徴とその背景にある授業者の考えを明らかにし,ダンス授業における対人関係について考察することを目的とした。その結果,「他者との関わり」がみられる31の教材の特徴は,授業者のダンス観や学習観に基づいて2人組の活動形態が多く取り上げられており,その活動内容は全身の運動や連続的な動きの有無や,他者と関わりながら動く際のきっかけの違い(音楽,多様な動き,題材)による4つの場面に分類された。さらに,これらの動きの形成には「共有」と「やりとり」の2つがあり,やりとりする受け手の積極性と役割交代の流動性が発展するように活動が組み立てられていた。このような活動の組み立ては,他者との関係性を手立てに即興的な関わり合いや表現を引き出すという授業者の考えを背景としたものであると示唆された。