パーソナルファイナンス研究
Online ISSN : 2189-9258
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改正貸金業法が招いた副作用に関する検証
堂下 浩
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2014 年 1 巻 p. 55-65

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抄録
貸金業法の副作用が徐々に顕在化しつつある。新聞各紙は2013年4月4日に警察庁が発表したデータを引用し、貸金業法の効果によりヤミ金融の被害件数が減少していると報道した。筆者はこうした一連の報道に違和感をもつ。筆者らが2013年1月に行ったアンケート調査において直近1年間のヤミ金融利用率は「消費者ローン利用経験者」ベースで9.8%と、2011年調査の3.3%を大きく上回った。また同様の増加傾向は日本貸金業協会が2012年11月に発表した調査でも確認されていた。実際、本報道の後もヤミ金融の被害を伝える事件は頻発している。2013年5月の事件に限定しても、ヤミ金融に従事していた袖ヶ浦市議が逮捕された事件や、ヤミ金融の亜種である偽装質屋やカード現金化に関する事件報道など後を絶えない。このようにヤミ金融被害の拡大は改正貸金業法による副作用の一つに過ぎない。本調査からヤミ金融被害をはじめとする貸金業法による一連の副作用が確認された。本稿では法改正が引き起こした諸問題について報告する。
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© 2014 パーソナルファイナンス学会
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