水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
余剰活性汚泥の嫌気性消化に及ぼす前熱処理と滞留時間の影響
李 玉友野池 達也
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 12 巻 2 号 p. 112-121,94

詳細
抄録
余剰活性汚泥の嫌気性分解特性に及ぼす前熱処理の促進効果の解明およびTP/ADプロセスの最適化を図るために,62~175℃での熱処理実験と35±1℃での回分および連続式嫌気性消化実験を通じて,余剰汚泥の嫌気的分解に及ぼす熱処理条件と消化時間の影響を検討した。その結果,以下のことが明らかとなった。1)熱処理に伴う汚泥の可溶化,低分子化および固形有機物の熱変性によって,余剰活性汚泥の嫌気的分解率と消化ガス生成量が向上されただけでなく,消化時間も10日以下に短縮できる。2)嫌気性消化の効率化のための最適熱処理条件は温度170℃前後,時間60分程度である。この条件では消化時間5~10日におけるCOD除去率およびガス生成量はそれぞれ60%および223~235ml・g-1CODであり,対照系より倍増する。3)汚泥の各成分の分解に対する熱処理の促進効果は炭水化物>たんぱく質>脂質の順で大きい。4)滞留時間1.5~10日の汚泥消化槽におけるメタン菌数は107~108No・ml-1である。
著者関連情報
© 社団法人日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top