日本精神保健看護学会誌
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統合失調症圏の患者に対する身体ケア技術の意味づけ : 生物学的寛解過程における身体感覚の変化に連動した看護ケア
嵐 弘美
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2009 年 18 巻 1 号 p. 38-49

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抄録

<目的>中井(1989)の「身体-身体像-自我の三者関係からみた統合失調症の経過のモデル」に基づき、統合失調症者に対する身体ケア技術の意味を明らかにすることである。<方法>看護ケアの参加観察からデータを質的に分析した。<結果>研究対象者の身体-身体像-自我の三者関係の障害は、身体→自我→身体像の順に回復し、身体ケア技術は、障害の回復に先んじて、身体→自我→身体像の順にその焦点を移行させていた。また、身体ケア技術は、<精神及び身体の状態を観察・把握する><身体感覚の機能を代理し、回復を促す><自我を保護し、補足する><看護師の身体性を通して、空無化した身体の存在を保証する><身体像の修復を促す>という5つの技術から構成されており、特に<身体感覚の機能を代理し、回復を促す>技術の重要性が示唆された。<結論>結果から、身体ケア技術の意味は、身体-身体像-自我の三者関係に直接的に働きかけることによって、心身の分裂に橋を架け、統合失調症の回復に寄与するものであると捉えられた。

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© 2009 一般社団法人日本精神保健看護学会
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