日本精神保健看護学会誌
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うつ病性障害の身体症状を回復の指標とした看護判断の検討
福田 大祐
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2011 年 19 巻 2 号 p. 1-9

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抄録
本研究は,うつ病性障害の身体症状と精神症状の関連性を明らかにし,身体症状の変化を回復の指標とした退院支援を行うための基準について検討した.回復を査定する身体症状に睡眠障害,食欲不振,体重減少,便秘,疲労・倦怠感,疼痛,めまい・耳鳴り,呼吸困難感,口渇,悪心・嘔吐を取り上げた.この身体症状を評価した看護判断と医師による退院許可の判断を比較し,看護判断の専門性について分析した.研究の結果,対象は大うつ病性障害の入院患者10名であり,回復過程における身体症状と精神症状に有意な相関がみられた(p<0.05).また,身体症状を基準とした看護判断は医師による退院許可の判断より,判断を行った時期が早かった(p<0.05).これにより,身体症状の変化からうつ病性障害の回復過程を客観的に評価できること,また身体症状を基準とした看護判断は退院支援を行うためのクリニカルパスの作成に有用であることの可能性が示唆された.
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© 2011 一般社団法人日本精神保健看護学会
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