日本精神保健看護学会誌
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精神科急性期病棟における隔離・身体拘束の看護介入プロセス
長山 豊長谷川 雅美
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2013 年 22 巻 2 号 p. 11-20

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抄録

本研究は,精神科看護師が不穏・興奮状態の患者に対し,隔離・身体拘束の導入から解除に至る看護介入プロセスを明らかにすることを目的とした.精神科急性期病棟の看護師14名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法を用いて分析した.その結果,2つのカテゴリー,13の概念が抽出された.【隔離・身体拘束に至るプロセス】のカテゴリーにおいて,『不穏・興奮を鎮める早急な判断』に基づき『急速な医療チームの連携』が生じて隔離・身体拘束が行われる場合と,鎮静化を試みる2つのプロセスが生じていた.行動制限を実施した後に【隔離・身体拘束の解除プロセス】のカテゴリーに移行し,『解除認識の共有』と『患者の行動のデータ化』が双方向的に作用しあい,解除へ導くプロセスが生じていた.以上より,看護師を含む医療チームの急速な連携のもとで患者の危機的状況に対処でき,情報共有を強化し,医療チーム内で共通認識をもって行動制限の解除に臨むというチームアプローチを行う重要性が示唆された.

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© 2013 一般社団法人日本精神保健看護学会
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