2016 年 25 巻 1 号 p. 65-75
本研究の目的は,患者の心理社会的機能の全体的評価と地域生活の継続を支援する精神科外来看護ケアの実施時間との関連を明らかにすることである.精神科病院の外来看護師16名を対象に,地域生活の継続を支援する外来看護ケアの実施時間,ケアを実施した患者の特性について,一人の患者へのケア実施1場面ごとに自記式質問紙調査を実施した.対象者一人あたりの平均調査時間は41.7時間(SD=13.3)であった.195件のケアを分析対象とし,ケアを実施した時間とケア内容,ケアを実施した患者の特性について分析した.ケアを受けた患者のGAFは平均値が59.7であった.1場面あたりの看護ケア実施時間の比較では,心理社会的機能が高い患者と低い患者で有意な差はなかった.心理社会的機能が低い患者には〈精神症状のコントロールに関するケア〉の実施時間が心理社会的機能の高い患者に比べ有意に多いことが示された.