日本精神保健看護学会誌
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25 巻 , 1 号
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原著
  • 高橋 有里
    2016 年 25 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    精神科で定期的に徐放性製剤の筋注を受けている患者の硬結の発生状況,また硬結症状と患者特性や注射内容・方法との関連を明らかにし,硬結予防のケアについて考察することを目的とし,筋注を受けている患者と注射を実施する看護師を対象に調査を行った.その結果,全ケースの11.0%に硬結が確認され,30.0%の患者が硬結を保有し,調査期間中10.0%の患者に新規に硬結が発生した.硬結の大きさは2.0×2.0 cmから5.0×7.0 cm,硬さは正常部位と比較して+7.4から+12.3硬かった.硬結は筋注から8週間経つと大きさは縮小し硬さは軽減するが,8週間後に殿部の同一側に筋注されるため,再び大きくなる傾向にあった.硬結の観察はサーモグラフィでは難しかったが,エコーでは可能であった.また硬結は,患者の活動性が低下している時期にデカン酸ハロペリドールの筋注が刺入深度不足になった際に発生しやすいと考えられた.したがって,硬結予防には,筋肉内に深く確実に投与すること,注射部位の筋を効果的に活動させることが有効と考えられた.

  • 大西 香代子, 北岡 和代, 中原 純
    2016 年 25 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    患者のためにと思うケアリング志向の強い看護者は,倫理的問題にうまく対処できないと離職してしまうことが多いとされている.本研究では,精神科病院に勤務する精神科看護者を対象に,倫理的感受性と看護実践における倫理的悩みとの関連を検討する.

    精神科看護者に倫理的悩み尺度精神科版(MDS-P),倫理的感受性質問紙(MSQ),属性などからなる質問紙を実施,914名の回答を得た.MSQの3因子とMDS-Pの3因子との間には全て有意な相関がみられた.倫理的感受性は自分の倫理的役割を自覚し,それを果たそうとする態度であり,倫理的感受性の高い看護師ほど,それを果たせないときに感じる倫理的悩みが強くなるのは当然ともいえる.ただし,倫理的悩みには他の心理的特性や病院の体制などが影響している可能性も示唆された.また,看護経験年数と倫理的悩みとの相関は見られず,経験年数が問題への対処能力と対応していないと考えられる.

研究報告
  • 古城門 靖子, 赤沢 雪路, 曽根原 純子, 武井 麻子, 寳田 穂
    2016 年 25 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    看護師は日常的な感情労働の代償として共感疲労に陥る危険性が高く,職場における自らの感情面での健康状態に気づき,対処する必要がある.そのためには,感情知性(emotional intelligence: EI)と呼ばれる能力が重要であると言われている.そこで本研究では,病棟チームの柱となって働いている中堅看護師を対象として言語による交流を中心としたグループを毎月1回,計10回行い,そこで語ることが中堅看護師のEI育成に有用であることを実証的に明らかにすることにした.研究参加者は総合病院に勤務する実務経験4年以上の中堅看護師7名である.結果として,参加者たちは仕事にまつわる不安や管理者への期待と不満を徐々に語りだし,それが過去の体験とつながりがあることに気づいた.こうして彼らは,グループの中で新たな他者への信頼と自信を取り戻していった.

  • 亀山 麻衣子, 香月 富士日
    2016 年 25 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,精神科看護師の自傷患者に対する感情反応の特徴を明らかにし,惹起された感情反応が自傷患者に対する情緒的態度に表れているかを明らかにすることである.自傷患者への看護経験を有する精神科看護師363名を対象に2つの尺度(FCJ, NAS短縮版)を用いて質問紙調査を行った.その結果,精神科看護師が想起した自傷患者群と非自傷患者群の比較において,FCJ下位尺度「拒絶」「遠い距離」「巻き込まれ」「役立ち感」では有意な差が認められた.このことから,精神科看護師は自傷患者に対して怒りや不安といった陰性感情が惹起されやすく,自分は自傷患者にとって不適切であり役に立っていないという思いを抱いている可能性が示唆された.さらに,自傷患者群のNAS短縮版に関する重回帰分析を行った結果,精神科看護師の感情反応は,自傷患者に対してどなったり言い争ったりするという敵意の態度や批判的な態度に影響している可能性も示唆された.

  • 江口 実希, 桐野 匡史, 國方 弘子
    2016 年 25 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    抑うつに関連する認知的要因に推論の誤りがあるが,推論の誤りを測定する尺度の妥当性の検討は十分ではない.本研究目的は,推論の誤り尺度(TES: Thinking Errors Scale)の妥当性と信頼性の検討を行うことである.看護師553名を分析対象にTESの探索的因子分析から抽出した2因子を「自己への帰属」,「分別思考」と命名し,2因子斜交モデルを措定後,確証的因子分析で因子構造妥当性を検討した(CFI: 0.944, RMSEA: 0.098).次に外的基準との関連からTESの構成概念妥当性を検討した結果,データへの適合は良好であった(CFI: 0.970, RMSEA: 0.047). Cronbachα係数は「自己への帰属」因子が0.905,「分別思考」因子が0.853であった.看護師の抑うつへの認知行動療法を実践する場合,「自己への帰属」と「分別思考」に介入することの必要性が示唆された.

  • 檜山 明子, 定廣 和香子, 守村 洋
    2016 年 25 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    精神疾患患者に対する疼痛アセスメント方法を質的記述的に明らかにし,疼痛アセスメント方法の発展に向けた示唆を得ることを目的とした.経験年数5年以上の熟達した看護実践者をネットワークサンプリングにより選出し,半構造化面接を行った.形成された29カテゴリから,精神科看護師としての責務を自覚した態度および共感的態度をもったアセスメントの方法,疼痛の訴えがわかりにくい患者の情報を収集する方法,精神疾患患者の特徴に合わせた情報解釈の視点や疼痛の原因を特定する方法が明らかになった.以上から,疼痛アセスメントを行う際に必要とされる態度の獲得,多角的な情報収集をするための方法の習得,疼痛の原因と状態の分析力の向上をめざした学習によって,精神疾患患者の疼痛アセスメントの精度向上につながる可能性が示唆された.

  • 髙原 大介, 豊里 竹彦, 髙原 美鈴, 與古田 孝夫
    2016 年 25 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    【目的】精神科スーパー救急病棟に勤務する看護師は,急性増悪期にある患者を対象としており,患者対応は大きなストレス要因となることが考えられる.本研究は,スーパー救急病棟に勤務する看護師の社会的スキルが,バーンアウトに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.

    【対象および方法】スーパー救急病棟に勤務する1,251名の看護師を分析対象とし,社会的スキルとバーンアウトについて測定を行った.解析は,社会的スキルを独立変数,バーンアウトの各下位尺度を従属変数とし,バーンアウトと有意な関連を示した基本属性を調整変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った.

    【結果】社会的スキルの高さはバーンアウトの下位尺度である「情緒的消耗感」,「脱人格化」,「個人的達成感の低下」のいずれにも影響を及ぼし,そのリスクを低減させる効果のあることが示された.

    【結論】社会的スキル向上を目指し,バーンアウトのリスク低減を図ることが,スーパー救急病棟に勤務する看護師の離職予防の重要な方策の一つとなる可能性が示唆された.

  • 北 恵都子, 船越 明子
    2016 年 25 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,患者の心理社会的機能の全体的評価と地域生活の継続を支援する精神科外来看護ケアの実施時間との関連を明らかにすることである.精神科病院の外来看護師16名を対象に,地域生活の継続を支援する外来看護ケアの実施時間,ケアを実施した患者の特性について,一人の患者へのケア実施1場面ごとに自記式質問紙調査を実施した.対象者一人あたりの平均調査時間は41.7時間(SD=13.3)であった.195件のケアを分析対象とし,ケアを実施した時間とケア内容,ケアを実施した患者の特性について分析した.ケアを受けた患者のGAFは平均値が59.7であった.1場面あたりの看護ケア実施時間の比較では,心理社会的機能が高い患者と低い患者で有意な差はなかった.心理社会的機能が低い患者には〈精神症状のコントロールに関するケア〉の実施時間が心理社会的機能の高い患者に比べ有意に多いことが示された.

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