2016 年 25 巻 1 号 p. 56-64
【目的】精神科スーパー救急病棟に勤務する看護師は,急性増悪期にある患者を対象としており,患者対応は大きなストレス要因となることが考えられる.本研究は,スーパー救急病棟に勤務する看護師の社会的スキルが,バーンアウトに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.
【対象および方法】スーパー救急病棟に勤務する1,251名の看護師を分析対象とし,社会的スキルとバーンアウトについて測定を行った.解析は,社会的スキルを独立変数,バーンアウトの各下位尺度を従属変数とし,バーンアウトと有意な関連を示した基本属性を調整変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】社会的スキルの高さはバーンアウトの下位尺度である「情緒的消耗感」,「脱人格化」,「個人的達成感の低下」のいずれにも影響を及ぼし,そのリスクを低減させる効果のあることが示された.
【結論】社会的スキル向上を目指し,バーンアウトのリスク低減を図ることが,スーパー救急病棟に勤務する看護師の離職予防の重要な方策の一つとなる可能性が示唆された.