日本精神保健看護学会誌
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研究報告
通所サービスを利用している高齢者のうつ状態と身体症状,精神症状および生活状況の関連
塚原 貴子山下 亜矢子
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2018 年 27 巻 1 号 p. 32-40

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抄録

本研究は,在宅要介護・要支援の方でうつ状態にある対象の精神症状,身体症状の実態およびうつ状態の関連する要因を明らかにする.

研究対象者はA県内のデイケア,デイサービスに通所している65歳以上の要介護および要支援の認定者で,自分の意思を伝えることのできる111人である.調査内容は,基本属性,Geriatric Depression Scale;GDS-15簡易版,老研式活動能力指標の手段的自立,知的能動性,社会的役割の3つの下位尺度,ソーシャル・サポートのサイズ得点と交流得点,うつ状態の精神症状,身体症状である.

調査の結果GDS得点の5~9点の軽度のうつ状態は52人(46.8%),10点以上の重度のうつ状態は8人(7.2%)であった.GDSと相関があった項目でGDS得点を従属変数とするロジスティック回帰分析(変数増加法)で検討した結果,うつ状態の危険因子として,身体症状の数(odds ratio; OR=1.272)精神症状の数(OR=2.876)であった.一方うつ状態の改善因子にはソーシャル・サポートのサイズ得点(OR=0.891)であった.うつ状態の身体症状は心気的愁訴の訴えが多く,精神症状は「考えがまとまらない」「集中力が低下」「イライラ」「頭が悪くなったようだ」などであった.

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© 2018 日本精神保健看護学会
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