2019 年 28 巻 2 号 p. 48-56
本研究は,入退院を繰り返す精神障害者が地域の居場所を持っていることについての想いを記述することを目的とし,質的記述的研究方法を用いた.
対象者6名のインタビュー内容を分析した結果,居場所を持っていることについての想いの中核は,「居場所で自分の意思で行動をしたい」であった.対象者は,入院により行動が限られる体験をするが,居場所に戻ると自分のペースで生活ができるようになっていた.しかし,家事や金銭管理をしなければならない現実に直面していた.その後,安心感がもてる対人交流や,好きな場所へ行くこと,好きなことや趣味の時間を過ごすようになった.さらには,やりたいことや夢を抱きながら生活をし,夢を持つことで活力を得ていた.その一方で,今後の現実的な不安を抱きながら,入院を一時的な休養の場として捉え,症状と共に生きていくことを受け入れていた.
本研究では,対象者と居場所への想いを共有し,対象者が願う居場所で生活が継続できるように関わることが重要であると示唆された.