2019 年 28 巻 2 号 p. 1-9
油性徐放性製剤の筋肉内注射後に発生する硬結は,患者に痛み等の苦痛をもたらしている.本研究は,動物実験で硬結予防に効果があると示唆された筋収縮運動を実際に試み,その有効性について明らかにすることを目的に行った.
ハロペリドールデカン酸エステル注射液の筋肉内注射を定期的に受けている入院患者10名を対象とし,対照群と介入群に分けた.対照群は注射後に何もせず,介入群は注射後に中殿筋が収縮するよう下肢の外転運動を30回行った.その結果,硬結は両群ともに5名中2名に発生した.しかし,対照群では両側に発生し,圧痛があり,4週間後まで継続して観察されたが,介入群は発生が一側のみに留まり,圧痛はなく,注射2週間後には消失したとの差があった.また,運動を行うことに対する患者の負担はなく,看護師も肯定的であった.
したがって,注射後に中殿筋の収縮運動を行うことは,硬結を予防するのに有効であることが示唆された.