2019 年 28 巻 2 号 p. 57-68
本研究の目的は,精神科病院における統合失調症患者に対するターミナルケアの実態とターミナルケアに臨む看護師の態度に関連する要因を検討することである.全国の精神科病院973施設の看護師(1名/施設)を対象とし,郵送法による質問紙調査を実施した.質問紙は142部回収(回収率14.6%)し,有効回答の79部を分析した.質的分析の結果,精神科病院において看護師は,設備やマンパワーの不備があるなかで,患者や家族の思いを尊重した看護を実践しているが,精神科病院が孤立していて他院の協力が得られない状況や,患者の意思確認が難しい状況があるなど,その実践には様々な困難を伴うために,看護を否定的に捉えていることが明らかとなった.一方,量的分析の結果,①設備やマンパワーの充実度が高い,②患者と家族への精神的なサポート体制がある,③身体合併症看護への不安が小さい,④看護組織チーム力が高いと,看護師のターミナルケアへの態度が肯定的であることが示された.