2020 年 29 巻 1 号 p. 13-22
本研究は,情報伝達手段の多様化した昨今において,思春期にひきこもった当事者が,支援機関に通所するまでのプロセス明らかにすることを目的とした.研究対象者7名にインタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した.また,分析の過程でスマートフォンやSNSなど,近年の情報伝達手段の多様化に伴う対人関係の変化を加味した.その結果,コアカテゴリである《同年代から受ける刺激に向き合う》をはじめ,12のカテゴリと30の概念が抽出された.当事者は《同年代から受ける刺激に向き合う》プロセスでひきこもり,その要因には,思春期という発達段階から生じる要因と,日本の社会文化的な要因が関連していた.また,看護への示唆は,当事者のひきこもる間の行動の意味を家族で共有すること.家族へ支援に関連する情報提供を行い,時期を見て当事者へ情報伝達できる体制を作ること,等が上げられた.