2022 年 31 巻 2 号 p. 28-37
本研究の目的は,急性期症状により精神科救急病棟の保護室に入室している統合失調症患者への看護実践を明らかにすることである.5年以上の精神科病棟での経験,且つ3年以上の精神科救急病棟での経験を有する看護師8名を対象とし,参加観察と半構造化面接を行った.分析の結果,46のサブカテゴリと16のカテゴリ,4の大カテゴリにまとめられた.看護師は,急性期症状により精神科救急病棟の保護室に入室している統合失調症患者の保護室入室から退室まで『判断した精神機能の状態に合わせた制限緩和を行う』ことを基盤として,急性期症状が常に見られる時には『安全に行動制限を行いながら生活支援を行う』,患者と疎通が取れる時間が増えてくると『安心を提供しながら回復のための安静を維持する』,日常生活が自立してくると『日常生活を見守りながら退院支援につなげる』という患者の精神機能の回復に合わせた看護実践を行っていた.