入退院を繰り返す成人中期患者への精神科病棟看護師が抱く葛藤を明らかにし,退院支援に関わる看護師を支援する方策を検討した.20名の看護師に半構造化面接を行った.修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果,19概念,8カテゴリー,1コアカテゴリーが生成された.
看護師は,再入院患者に【無力感】を抱き,役割だからと【妥協】し関わっていた.入院中【家族に対する困惑】,【患者に対する困惑】,【態度が軽率に見えてしまう苛立ち】など《ズレによる困惑》を抱えながら葛藤を深め,【退院支援からの逃避】や【退院支援に関われないもどかしさ】を抱いたまま退院を迎えていた.一方【ズレを察知】する看護師もいたが,退院支援には至っていなかった.
看護師は,患者・家族とのズレを埋められず,同世代の患者へ怒りを投影していた.退院後のイメージに向けて同行訪問や就労支援への参加が重要であることが示唆された.