看護師長のリーダーシップが看護職員のワーク・エンゲイジメントを媒介してストレス反応に及ぼす影響

―仕事のストレス要因を調整変数とした分析―

抄録

本研究は，看護師長のリーダーシップと看護職員の心身のストレス反応の関連において，仕事のストレス要因の高低による看護職員のワーク・エンゲイジメントの媒介効果の影響を明らかにすることを目的とする．16病院の看護職員1,213人を対象に無記名自記式質問紙調査を行い，マルチレベル相関分析および調整媒介分析を行った．有効回答は403部であった．

マルチレベル相関分析では，個人レベルでワーク・エンゲイジメントと看護師長のリーダーシップに正の相関が，職業性ストレスとは負の相関が認められた．また，集団レベルでは看護師長の人間関係志向のリーダーシップと職業性ストレスに負の相関が認められた．

調整媒介分析では，高ストレス状況下での変数間の関連について推定を行い，結果として課題志向，人間関係志向両方のリーダーシップの発揮が看護職員のワーク・エンゲイジメントを媒介し，心身のストレス反応に影響を与えていたことが明らかとなった．