本研究では精神科病院の倫理的風土に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的に,看護者を対象とした質問紙調査を行った.
質問紙は基本属性,日本語版倫理的風土測定尺度,組織風土尺度,協同作業認識尺度,日本語版バーンアウト尺度にて構成し,14施設949名の看護者を対象に調査を行い,319名を分析対象とした.
日本語版倫理的風土測定尺度を従属変数とする重回帰分析の結果,組織風土尺度の下位因子である「柔軟性・創造性・大局的」,「自由闊達・開放的」,「権威主義・責任回避」,協同作業認識尺度の下位因子である「個人志向因子」,「協同効用因子」が倫理的風土に影響を及ぼす要因であった.
この結果から,組織における倫理的風土を向上させるためには,権威が弱いと考えられる看護者を含めたすべての看護者の倫理的な感性を対等に扱い,個々の道徳的感受性や倫理観が看護実践に反映させられるような風土を作ることが必要であると考えられた.
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