2023 年 32 巻 2 号 p. 1-11
本研究は精神科病棟に勤務する看護師を対象に,リカバリー志向を高めるための研修プログラムを企画し,その効果を明らかにすることを目的とした.
研修参加者44名を対象として自記式調査を行い,リカバリーに対する知識や態度,ストレングスに焦点を当てた支援の実施度について,研修プログラム前後の変化を量的・質的に分析した.
その結果,研修プログラムによって,参加者はリカバリーに関する理解が深まり,リカバリーをより志向する方向への変化が認められた.患者のストレングスを知っていくための対話を実践していく中で,リカバリーの概念が知識としてだけではなく実体験を伴う理解に変化し,その人の可能性を信じ,その人の意思を尊重するといった,支援態度の変化が起こったことが示唆された.
ただし,臨床現場で生じた困難や課題によってはリカバリー志向の停滞が起こる可能性があり,困難や課題をフォローできる体制や機会は継続的に必要であると考える.