2023 年 32 巻 2 号 p. 12-22
目的:精神科デイケア利用者9名に対し,3名ずつの小集団によるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)を実施し,パーソナルリカバリーへの効果を検討した.
方法:G-ACTはプログラム4回とフォローアップ2回で実施し,シングルケースデザインを用いて個別に効果を検討した.効果指標は,価値に基づく行動の生起頻度とパーソナルリカバリーの測定尺度(QPR)を用いた.
結果:9名中5名に価値に基づく行動の生起頻度に有意な増加が認められた(Tau = 0.44~0.57, p < .05).QPRは9名中6名に有意な上昇が認められた(Tau = 0.55~0.75, p < .05).QPRに有意な上昇のなかった3名は価値に基づく行動にも有意な増加はなく効果量も小さかった(Tau = 0.15~0.17).
結論:G-ACTにより価値に基づく行動の生起頻度が上昇した5名はQPRも上昇し,パーソナルリカバリーを促進することが示された.今後は,効果量の小さかった対象者の状況要因を分析し,介入方法をさらに検討する必要がある.