本研究は,急性期患者の身体的拘束の早期解除に向けて精神科中堅看護師が感じた困難とその対処,および工夫を質的に記述することを目的とした.精神科急性期治療病棟もしくは精神科救急病棟に所属している中堅看護師7名に対し,個人面接による半構造的インタビューを行った.分析には質的記述的手法を用いた.
その結果,中堅看護師の困難として【限られた人的資源の中では解除が制限される】【チームメンバーへの暴力リスクは解除をためらわせる】【責任をおいきれない中での拘束解除は推進しづらい】等4カテゴリ,困難への対処,および工夫としての看護実践において【平等に看護師間で意見できる環境をつくる】【拘束解除による事故の予防策を率先してとる】等6カテゴリが明らかとなった.中堅看護師は,多様な困難を感じながらも,チームづくりのほか,患者やチームの状況を捉えた看護実践により対処していることが考えられた.