2025 年 34 巻 1 号 p. 69-77
本研究は,身体科の経験を有する看護師がメンタルヘルスに不調を呈する患者対応において感じた困難さを文献レビューによって明らかにすることが目的である.身体科の経験を有する看護師が感じたメンタルヘルスに不調を呈する患者対応の困難さが記述された13文献を対象とし,文献統合を行った.文献統合の結果,【精神看護の展開に必要な知識や経験の不足】【思い描くようにいかない看護援助】【触発された否定的感情の滞留】【実現が難しい組織の支援体制】が抽出された.患者の疾患理解や症状アセスメントに加え,実際の看護援助やその看護援助に対する患者の反応から,看護援助をどのように展開していくか想定した臨床知を獲得することを支える学びの機会が必要である.また看護師自身のメンタルヘルスを支えるために,患者との心的距離に関する知識やセルフケア強化を目指したストレスマネジメントについても学ぶ機会が重要であることが示唆された.