応用統計学
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総合報告
連鎖方程式による多重代入法
野間 久史
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 46 巻 2 号 p. 67-86

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抄録

一般的な調査・実験研究において,欠測はほとんど避けられない問題であり,統計解析において,適切な処理を行わなくては,バイアス・推定精度の低下が起こり得る.ほとんどの研究において,欠測は複数の変数にまたがって,個人ごとに異なるパターンで起こることが一般的であるが,このような条件下で,汎用的な統計ソフトウェアで実行することができる不完全データの解析手法は,現状ではわずかしかない.連鎖方程式による多重代入法(multiple imputation by chained equation; MICE)は,このような条件下で有効な解析を行うために開発された方法であり,その実践的な有用性から,近年,多くの統計ソフトウェアに実装され,さまざまな研究領域において普及しつつある.本稿では,非統計家を含めた,データ解析に携わる実務家・研究者を対象として,邦文によるMICEについての実践的な解説を行う.また,Clark and Altman (2003, J. Clin. Epidemiol. 56, 28-37) による卵巣がんの予後因子研究を事例として,Rのパッケージ mice を用いた解析方法について紹介する.

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© 2017 応用統計学会
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